
大切なのは仕事相手にも楽しんでもらうこと
ーーもう一冊お願いします。
| 伝説の外資トップが説く リーダーの教科書 | |
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新 将命
ランダムハウス講談社 2008-11-28 おすすめ平均 |
これはバリバリのビジネス書です。著者は、外資系企業の社長職を歴任された大ベテラン。今は、現役社長さんたちのメンター役もなさっています。
これからの大変な時代を担う30〜40代のビジネスパーソンに、半世紀近くに及ぶ自分の知識や経験が少しでも役に立てば、という想いで書かれた本です。
この本のタイトルには、「伝説の外資トップが説く」という言葉が入っています。「外資」というと、何となくメタリックやシルバーっぽい色味を連想しませんか?外資系コンサルティングファームのイメージから連想するような。
でも、この本は当初からそういうイメージとは違うと思っていました。何十年もビジネスの第一線に立ち続けて、多くの苦労を乗り越えてきた人物ならではの高貴さ、器の大きさ、威厳、品格……。
カバーでは、そういう雰囲気を醸し出したかったんです。デザイナーさんには、打ち合わせでそんなリクエストを出しました。
イメージどおりのデザインを出していただいたときには「これだ!」と思いましたね。
ーーイメージがきれいに表紙に再現されていますね
この本の装丁は大変でした。本番の印刷には私も立ち会ったのですが、この群青色と金色を出すために現場のオペレーターさんと何度もやりとりをしました。
特に群青色は、プロセスの4色カラー印刷で再現するのがすごく難しい色なんですね。何度もやり直していただいて、ようやく満足のいく色味になりました。仕上がりを見て、正直こんなに色がきれいに出るとは思っていなかった、とデザイナーさんにも喜んでもらえました。大変でしたが、やってよかったです。
印刷所にまで立ち会いに行くのは、もし立ち会わずに良いものができなかった時に、後悔するのがいやだからなんです。せっかくデザイナーさんが良い仕事をしてくれたんだから、それを印刷段階でもなるべく忠実に再現してもらえるよう見届けるのが私の仕事だと思っています。
もう一つ、私が自分に課している役割は、一冊の本に関わるメンバー全員が「楽しんで仕事ができる環境」をつくること。辛い仕事になってしまうと、いいアイディアが浮かばないし、頑張ろうという気持ちになれません。だから常に心がけているのは相手に仕事を楽しんでもらうということ。自分が楽しむことももちろんなんですけど、デザイナーさんも、著者さんも、ライターさんも、カメラマンさんも、イラストレーターさんも、印刷所の方にも。
たまに、過去に何冊か本を出されたことのある著者さんで、「本作りって大変ですよね」とおっしゃる方がいます。そういう方には、「本作りって、あなたが思っているよりおもしろいんですよ」と感じてほしい。その環境づくりのをするのが編集者の役目だと思っています。触媒の役割ですね。
ーー見ているだけではなく、すべての工程に参加されているんですね。
そうですね。責任がありますからね。編集という職務に与えられた権限と同じだけ、責任があると思っています。
編集者って、やろうと思えばいくらでも偉そうにできちゃう立場だと思うんです。でも、相手の仕事に注文を付けるならそれだけの理由がないといけないし、注文を付けた後には自分の発言に責任を持たないと。昔、ある先輩に言われたことがあるんですよ。
「本が売れたら、それはお前以外のみんなのおかげだ。本が売れなかったら、それはすべてお前一人の責任だ。編集者とはそういう仕事だ」と。本当にその通りですよね。
本が売れなかったら、4T(タイトル、テーマ、タイミング、チームワーク)のどれかが欠けていたことに気付かなかった私の責任ですし、本が売れたとしたら、それは私みたいにわがままな編集者に付き合ってくれるチームのみなさんのおかげだと思います。
ーーとても自分に厳しくされていますね
私も人間ができていないので売れたら「わーい!」ってなっちゃうんですけど(笑)、ラッキーなことに、そういう時に水を差してくれる先輩が社内外にいるんですよね。
本を無事に世に送り出して「一仕事終えたなぁ」なんて一息ついていると、別の出版社の先輩たちまでもがお尻を叩いてくれるんですよ。
「その本を一番愛しているのは編集者なんだから、生みの親のお前がもっと頑張らないでどうする!」って。本って、作っただけではまだ仕事は終わっていないんですよね。読んでください、と伝える努力をしないと。
一冊の本が人生を変えるという奇跡そういう可能性がある本を作っていきたい
ーー常盤さんの今後のビジョンを聞かせてください
私の仕事は、一言で言えば「本を作ること」です。でもこれは表面的な説明でしかないかな、と思っています。編集者によって自分の仕事の定義は様々でしょうが、私の場合は、「何らかの形で世の中をより良い方向に変えたいという情熱を持った人を、『本』という媒体を通してサポートする仕事」。
本を通して「世の中をより良い方向に変える」手段は、いろいろあると思うんです。「楽しい気分になった」でも「勇気づけられた」でも「役に立った」でも。とにかく、プラスの波紋を拡げられれば合格。私の目標は、その気持ちがこの先もブレないように努力することです。
私の知らない誰かが、私の知らないところで、私が担当した本を偶然見つけて読んでくださるって、すごいことですよね。しかも、その方が「いい本だった」「この本に出合って人生が変わった」と思ってくださったのだとしたら、それって奇跡に近いことかもしれない。
私自身に誰かの人生を変える力はありませんけど、誰かの人生を変えるほどの潜在力を持った本を作ることを目標にして、今後も本を作り続けたいと思っています。
ーーありがとうございました。




リーダーのためのポイント集




[...] (続く) [...]