クロスメディア・パブリッシング 小早川幸一郎さん

勘と度胸と場当たり主義



ーー影響を与えた人はいますか?

前の会社の編集長ですね。今、僕は社内で人に教える立場です。編集長にはその教え方を学びました。

ある日、仕事をしていたら「机の前にかじりついていてもしょうがないだろ、たまには息抜きにバッティングセンターとか映画を観にでも行ってこいよ」と言って小遣いをもらったりして。「楽しくないと仕事は続かないから、楽しくやっていこう」と言ってくれたんです。

そして、「お前みたいな人間は世の中にいっぱいいるんだから、お前が読みたい本を作れよ」と言ってくれました。そう言われてだいぶ肩の荷が降りましたね。

もう一人、前の会社の社長です。社長のモットーである、「勘と度胸と場当たり主義」は僕のキーフレーズですね。まずは自分の勘を信じていけ!と。分析すれば精度はあがると思いますが、最終的にはピンときた、「勘」であると。「度胸」とは思いっきりですね。

「場当たり主義」とは綿密に計画を立ててもうまくいかないこともあるから、その場で臨機応変に対応できるようにしないといけないということ。

編集者としてだけでなく、すべてにおいて言えることなんですけどね。一人でしっかりやっていける人はある程度の場当たり主義を持っている人だと思います。そうじゃないと、一歩を踏み込めないので。

特に、出版業のような見込み型のビジネスをしている人は、「勘と度胸と場当たり主義」じゃないと、何もできないですよ。きっと。

ーー本を作る上でのこだわりはありますか?

売れる本をつくることです。先日、とある書店の仕入れの責任者と話す機会がありまして、「売れる本を作るのでよろしくお願いします」と言ったら、「売れる本より価値ある本を作ってくださいよ」と言われました。

その通りだと思いました。価値ある本が売れる本ですから。

本質を見極める



ーー200冊以上の本を作られてきていますが、ネタ探しはどのようにやっていますか?

インターネットや雑誌やテレビなど、他の媒体から探してくることもあります。あとは人との会話から見つけます。フットサルのチームに入っているのですが、そのチームのメンバーはみんな違う業界で働いているので、話しているだけで参考になります。

この前は人事部で働いている友人に「上司から営業の戦力化を図るように言われているんだけど、何か参考になる本はないか?」と相談されました。他の友人からも悩んでいることを聞いて、そこからヒントを得ています。

そして社内のスタッフともよく話すようにしています。アルバイトの大学生や女性スタッフなど、僕とは違う層のスタッフと飲みながら話を聞くこともしますね。

あとは紹介や持ち込みです。うちでは人から提案されて、そのまま出すパターンより、その企画をこちらでもう一度練り直して、こちらの方がいいのでは、と提案し直すケースが多いです。

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和歌山の有田郡という小さな町で水道店をやっている方から、「Uターンをして働こう」というような企画をいただきました。Uターンというトピックは都会にしかニーズがないので、どこかいまいちピンと来なかったんですね。

実際に会って詳しく話を聞いていると、その人の営業マンとしてのおもしろい一面がどんどん見えてきたんですよ。関西エリアでの販売レース1位。大きな販社と合わせても5本の指に入るくらいの売上です。その地域の人はほとんどその人から水周りの商品を買っていたんです。

そこに注目して『超地域密着型マーケティングのススメ』に方向転換しました。
著者自身もとても興味深い、頭のいい方でした。家業を継ぐため有名大学を中退し、田舎に帰り、ビジネス書を読んで実践し、自分なりのマーケティング術を持っているんです。その本は結果的にロングで売れています。

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留学関係のビジネスをしている方から、留学生向けの企画をもらいました。しかし当時にはもう留学生向けの書籍はある程度出回っていたので、何か他に違う企画を出してもらえないかと頼んだんですよ。

すると、毎日のように違う企画をメールでくれたんです。「これ違うなぁ」というと、「じゃあ、これで!」という感じで、レスが早いんですよね。

そこで「とにかくすぐやる人の考え方・仕事のやり方」というだいぶ前から考えていた企画のことを思い出して、この人に頼もう!ということになりました。メールの返しなどの細かい行動がかなり早い人でしたので、僕が思っていた著者に最適だったんです。

依頼してみると、快く引き受けていただけて、結果、その年の当社の1番売れた本になりました。そうやって思いがけないところからうまくいくパターンもあるんですよね。

ーーいろんな角度からものごとを見られているんですね

そうですね。灯台下暗しというように、案外みなさん自分のことってわかっていないんですよ。こういうのが流行っているから、こういう企画にしよう、と持ってきても説得力がないんです。「あなたがそれを書く意味はどこにありますか?」と。

それより、「あなたはこんな強みを持っているのだから、こちらで出しましょうよ!」と提案します。と、まぁ、こんな風にさんざん偉そうに言っておいて、実は自分自身のことはわかってないんですけどね(笑)。

(続く)

クロスメディア・パブリッシング 小早川 幸一郎さん vol.2

更新日: 2010年 4月 28日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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