
大幅リニューアル『絶対内定』シリーズ
ダイヤモンド社
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模擬面接と並行して使ってください。
どうかな〜
ーー思い出深い書籍はなんですか?
『絶対内定』という就活本のシリーズですね。3年ぐらい前に大幅リニューアルをしました。リニューアル前はよくある就活本みたいに、ゴシック体の大きな文字のカバーで、本文の字も大きく、迫力のある本だったんですけど、がらりとイメージを変えました。
ーー洗練されたカバーでつい手に取ってしまいそうです。
ありがとうございます。おかげさまでリニューアル後は、毎年実売ベースで売り上げが伸びています。就活本は毎年発行する商品で、たとえば2010年版が発売されると、2009年版は絶版にしてしまうケースがほとんどです。つまり本の寿命が一年なので、通常増刷をすることはありません。ところが『絶対内定』シリーズは、ここ3年、毎年予想以上の売れ行きで増刷をしています。
おかげさまで、昨年発売した『絶対内定2009』は、「生協で一番売れている自己分析本」として、多くの学生さんに支持されるようになりました。
ーー『絶対内定』シリーズを担当されてどれくらいですか?
かれこれ4年くらい前から担当させていただいています。今でこそ笑って話せますが、「中身が良い本だからもっと売れてもいいのに」と、苦しんだ時代もありました。前任者から引き継いだ本だったので、前任編集者に追いつけ追い越せという見えないプレッシャーとも闘ってましたね。なかなか結果が伴わず、著者に申し訳ない気持ちでいっぱいの時期もありました。
リニューアルも、率直に言うと、吉と出るか凶と出るか、確信はまったくなかったんですよ。リニューアル前も売り上げはそれほど悪くはなかったので、リニューアルによってどん底になるかもしれないという恐怖もありました。
でもやっぱりバット振るなら、フルスイングしなきゃねと著者に背中を押していただいて、大きくリニューアルできたという感じです。
ーーリニューアルのコンセプトを聞かせてください。
ひとつは原点回帰です。『絶対内定』の本来の良さは何か、他の就活本との比較ではなく、この本が持つ潜在能力をもう一度呼び起こそうと。内容が良いのにそれが伝わっていないのは、どうしてなんだろうと。
そこで、本のコンセプトの見直し、読者ターゲットの見直し、外見や手触り感などの、パッケージングの工夫など、相当細かく著者の思いを形にしました。
恥ずかしながら、それまでは「どういう内容の本なのか」「どういう見出しをつけようか」など、わりと本の中身に終始しすぎていて、編集者として視野が狭くなっていたんです。けれど、このリニューアルに携わったことによって、商品って、パッケージも含めて、そこから放つ世界観が重要なんだと、著者に教えていただきました。
新しい本を作るよりも、既存の本をリニューアルするほうが、実はとても大変だということも、このとき痛感しました。今まであるものを壊し、新たなブランドを作り上げていく。そこには、デザイナーやイラストレーターだけでなく、上司や営業など周囲の人たちの理解も必要です。ただ変えるのではなく、「なぜ変えるのか」もわかってもらわないといけません。勉強になりました。
実は、リニューアルを考えていたときは、本は「薄くて字が少なくてわかりやすい」ものが流行していました。では『絶対内定』はどうするか。
ところが『絶対内定』は分厚くてメッセージも熱くて文字も多い。でもそこにこの本のよさがあります。
ただ単に会社のエントリーシートを通過するため、ではなく、『絶対内定』で得られることは、本当に自分が行きたい進路や夢、やりたいことが見つかること。たくさんのワークシートを通じて、自分の強みも弱みも知り、自身が納得のいく形で就活ができるのがこの本のよさ。だったら本当に内容をそぎ落として薄くする必要があるのか。こんな具合で、ひとつずつ、「本当にそうか?」と何度も著者が問いかけてくれました。
そうこうするなかで、基本に立ち返って、他社の就活本との比較は一切やめたのです。就活本のように競合が多い本って、つい隣の芝生を見ちゃうんですよね。でもこの本が持っている潜在能力を考えると、「目の前の『絶対内定』をどうしたいかに集中しよう」という考えに行き着きました。
本の細部まで、すべてに意味と理由がある
ーー『絶対内定』のこだわりは、やっぱりデザインでしょうか?
それだけではありませんが、大きいと思います。カバーだけではなく、たとえば本の中に出てくるワークシートの表組の罫線の色の薄さに至るまで、細部にわたってこだわっています。
本作りにおいては、「本文の文字の大きさやフォントの形、余白の大きさなど、些細なところにも意味があり、それはすべて説明できるものである」と編プロ時代に鍛えられました。
たとえば、本の2章には細いペンタッチのイラストレーターさんを起用しましょう。その場合、なぜそのイラストレーターさんなのか、なぜ細いペンタッチなのか。編プロ時代は、きちんとそれなりの理由を説明できなければ、取引先である出版社からOKがもらえませんでした。
今は出版社にいますので、決定権が自分にあることもあるので、つい「なんとなく」で決めてしまうことがありました。ですが「細部に神宿る」ではありませんが、どんな些細なことも説明ができるくらいのレベルで突き詰めていくことの重みを、『絶対内定』のリニューアルで改めて感じました。
ーー著者と編集者の努力の結晶ですね。
いいえ、『絶対内定』の成功にはもう一つポイントがあるんです。同期の営業の女性が、リニューアル後の売れ行きの変化に、誰よりも早く気づいてくれていたんです。就活本は、大学生協など本来のビジネス書の販売ルートや置いている棚が違います。それゆえ、売れ行き動向が見えてこないこともあり、売れているかどうか、気づかないこともあるのです。
たまたま育児休暇明けで職場復帰した営業の同期が、久しぶりに『絶対内定』の売れ行き(数字)を見て、「今までと違う動きをしている」と気づいてくれたのです。そこで、これはしっかり営業がフォローして売り逃しのないようにしたほうがいいと、『絶対内定』のセールスの後押しをしてくれたのです。
『絶対内定』は「自己分析」「エントリーシート」「面接」といった就活本のシリーズものなんです。第1巻でもある「自己分析」が売り切れてしまうと、書店は2~5巻は返品してしまいます。学生さんもいきなり3巻(面接)からは買いにくいですよね。やっぱり1巻の「自己分析」から買いたいじゃないですか。ということで、”「自己分析」を切らさないキャンペーン”というのを、営業が一丸となっておこないました。「とにかく『自己分析』は売り切れにしないで、どんどん補充してくれ、そしたら残りの2~5巻も動くから!」と、書店さんに働きかけてくれて。リニューアル1年目はそのおかげで1巻(自己分析)がダントツで売れたんですよね。そして、2年目からは「自己分析」に限らず、シリーズ全巻の数字が動いたのです。
その後は生協さんが取り上げてくださったり、あと先輩から後輩へ口コミで広がって、もう私たちの手からは離れて、むしろ学生さんたちの手で育ててもらっているという感じですね。そういう意味で、『絶対内定』はバトンパスがうまくいって大きく育った本だと思います。
ーーチームでベストセラーにしたのですね。
そうだと思います。結果としていい本が出来て、営業や書店さんや生協さんが動き、学生さんにも支持していただいて、『絶対内定』というブランドが、2年、3年とかけて育っていきました。
本というのは、編集者一人の力ではどうにもなりません。著者をはじめ、多くの人たちの力があってこそ、多くの方に支持していただけるのだと。リニューアルは大変でしたが、編集者としていろんなことを教えてもらった、思い出深い一冊ですね。








[...] (続く) [...]