

スカイライター 川辺秀美さん
第六回目にご紹介するのは
スカイライター 川辺秀美さんです。
編集担当書籍『ウケる技術』他、
ご自身著書籍には
『カリスマ編集者の「読む技術」』
があります。
株式会社スカイライター代表取締役
そして著者として執筆活動もされている
ユニークな経歴をお持ちの方です。
一冊の本がきっかけで
ーー編集のお仕事をされ始めて、どれぐらいになられますか?
編集者としては、13年になります。
その前はマーケティング担当だったのですが、調査レポートを書いたり、それをまとめて編集したりしていたので、今の編集者としての仕事とは遠いようで実は近いことをしていたんですよ。
異業種から編集者への転職は珍しいと言われますが、きっとなれる!と思い込んで転職活動していたので、なれたのか、もしくは、運が良かったのかもしれませんね(笑)。
ーー出版業界にちゃんと入ろうと思ったきっかけは?
きっかけは一冊の本なんです。松田哲夫さんが書いた『編集狂時代』っていう本を読んだその時から会社を辞めると決めて、ちょうどその頃に早期退職制度があったので、真っ先に手を挙げたんですよ。
ーー『編集狂時代』とはどういった内容ですか?
松田哲夫さんの半生記みたいなもので、筑摩が倒産する時のドタバタ模様も書かれてるし、その後復活して彼が会社を立て直すまでの話もあります。松田さんはとにかく会社にいないんですよ。野坂昭如さんの選挙事務所に入り浸ったりとか、赤瀬川原平先生のところに居候したりとか。もう本当にハチャメチャな編集ぶりというか、ものを作っていく人間のドラマみたいなところにすごい魅力を感じて、どうしてもこの職業をやりたいなって思ったんです。
成功は意外なところに
ーー今まで編集のお仕事をさせてた中で、今だから言える失敗談はありますか?
一番の大きなうっかりミスは付録に間違った電話番号を載せてしまったことですね。それが個人宅の電話番号だったんですよ。それでもう1年間ぐらいずっとその電話番号の主、確か大阪の方だったと思うのですが、文句の電話を頂きました。今となっては良い思い出です。
それ以来、校正チェックには慎重になりました。そういった小さいミスを無くすことも編集の大切な仕事の一部ですからね。あとは著者を激怒させてしまったことも多々ありますよ。
ーーそれはどういったケースで?
例えば、本を作るにあたって、いろいろと交渉ごとが多くて、その中でもお金の問題って結構大きいんですよ。発行部数であったり、印税とかですね。
一度、会話の中で1万部ぐらいでいけるかもしれませんね、と言ったことがあって、それが結果として、6000部しか刷れないって状況になった時に、「お前は嘘つきだ!」と延々言われて、6時間ぐらい喫茶店に監禁されたことありますよ。
気が治まんないからもう出版しないと言われてしまって。最終的には出してもらったんですけど…。そんな苦い経験もあり、著者とのコミュニケーションは今でも細心の注意を払っています。
でも、不思議なことに、そういう大失敗があった後っていうのは、成功が待っていることが多いんですよ。実はその「もめた本」を見て来てくれたのが『ウケる技術』の水野敬也君なんですよ。だから、そこが面白いところで、そんな失敗があったからこそむしろ成功があったとも言えるんです。意外なところに次のチャンスが転がっているんですよね。
自分の存在を消す努力
ーー仕事をしている上でなにかこだわりはありますか?
こだわりはないですね。なぜなら職業的にこだわりというものを持ってはいけないんじゃないかなと思うんですよね。編集者っていうのは黒子であって、作品に「自分らしさ」というものを入れてはいけないと思うんですよね。むしろ、それをどんどん消していくっていうのが編集作業じゃないかと思うんですよ。なので、あえてこだわりと言うなら、全ての本で僕の存在を消す努力をしているということでしょうか。言い換えれば、作家の個性を出すということですよね。
私が作った本を並べてみたら分かるんですけど、たぶん一人の人が作った本とは思えない。版元時代はエンターテインメント寄りの実用書っていう観点でやってきたんですけど、でもエージェントとして1回目のその作品を出す時はノンフィクションの王道みたいな、割とジャーナリスティックな路線で固める硬派な本を作りました。
だから、今までも、これからも、なんだってチャレンジしていくつもりです。基本は作家との協働ですから。その作家の個性を最大限生かせる本のあり方を模索してくいつもりです。
ーー影に徹することが編集者なんですね。
そうですね。それに加えると、一つは継続していくってことです。なかなか結果が出にくい職業なので。たとえすぐに成功しなくても継続していけばいつかものになりますからね。
それから、テーマから逃げないということも大事ですね。それは著者にも言えることなんですけど、「真ん中」を走る企画を堂々と立てられないと、いつまで経っても結果は出ない。当たり前のことを真正面からやる、ということは誰にでもできることではないんです。







[...] (続く) [...]