
自分にしか出来ないポジションで
ーー著者として、編集者として、川辺さんのポリシーの原点はなんですか?
さきほどの松田さんも含めて強く影響を受けた人が3人いるんです。松岡正剛さんと、インフォバーンの社長である小林弘人さんですね。
この3人は全くタイプが違うんですよ。松田さんは学術書の出版社であり、サブカルチャーを作った人です。
松岡さんは、「千夜千冊」っていう、サイト見たら分かるのですが、とにかく博覧強記なんですよ。全身図書館みたいな人です。今の日本で知識層のトップにあたる人なんじゃないかな。
小林さんについては、「ワイアード」っていう90年代にかっこいい雑誌を作っていて、非常に影響を受けたんですよ。当時の最先端の情報誌でした。
ーー少しずつ近付いていらっしゃる感じですか?
いや、僕はあの方たちとはタイプが全然違うので、やっぱり自分にしか出来ないポジションで彼らと並びたいなと思ってるんです。見本となる人が3人もいて、とても勉強になります。自分もあの方たちと比べられるようになりたいですね。
ーーそのお三方とはどういう形で違う風にやっていくんでしょうか。
自分の場合、人材教育をやりたいと思って、会社を作りました。「読む」「書く」ということを社会人教育として定着させたいんです。仕事の基礎として必要なものだし、それがないと30代以降の、のりしろがないと思うんですよ。
「読む」「書く」ってつまりは編集のことを言うんですね。今まで編集という概念が社会で教育されることはなかったはずです。その編集というコンセプトを大学生や社会人が学んで、それを仕事に活かしてもらえるようなことをやりたいんですよ。これは編集の世界ではフロンティアだと思うので、次の世代の編集者たちが出版社を辞めたとしても、教育者としての道があるように市場を開拓していきたいです。

川辺さん著 『カリスマ編集者の「読む技術」』
完ぺきな原稿が上がるディレクション
ーー川辺さんにとっての編集者とは何ですか?
ディレクターであり、指揮者であると思います。演奏はしないんですよ。
手を入れることが編集だと思ってる人が結構多いんです。自分が手を入れなかったらこの原稿はダメだって。でも、それは逆で、手を入れるような原稿を依頼した編集者がダメなんです。
だから手を入れない原稿を目指すべきです。何もしないで完璧な原稿が上がって、しかも読者が満足してくれたら最高ですよね。だって、やることがないですから! 楽でいいでしょ(笑)
ーー手を入れるようなところがないような原稿を上げるためには、どうしたらいいんでしょうか?
そこがポイントです。つまりはディレクションなんですよ。ディレクションっていうのは目に見えない作業なんです。著者のモチベーションを上げて書いてもらって、脱稿までにその方向付けをきちっとやることだと思うんですよ。そこで適切なアドバイスを出せば、適切な原稿が返ってくるはずなんです。
でもそれが適切ではなかったら何回も書き直して、結局書き手が萎えてしまうという、悪循環が生まれます。
指揮者のように、簡潔かつ正確な指示を出してそれを原稿として反映させてもらう。そうやって良い原稿を上げとけば、脱稿の時に手を入れなくても良いじゃないですか。それがプロの仕事だと思うんですよ。
ーー今後のご予定は?
とりあえず今年は執筆活動を中心にやっていきます。
秋からは大学で講師もやる予定です。
これからどんどんお忙しくなりますね。
本日はどうもありがとうございました。







[...] (続く) [...]