ディスカヴァー・トゥエンティワン 千葉正幸さん

ベストセラーや話題書からも学ぶ



ーー書店に行くことが大切ということですが、週に何回ぐらい書店に行かれますか?

新人時代(前職)では、一日一回はかならず行っていました。今は帰りが遅くなることが増えて、そこまで頻繁には通えなくなりましたが、でも出先や移動中でも書店を見つけたら、2〜3分でもいいのでパッと店に入って、新刊台をざーっと見て、自社本の置き場所と減り具合を確認して、ビジネス棚をぱーっと眺めて、気になる本は目次やデザイナーをチェックして、それから、ぐるっと早足で店内を一周します。もちろん時間があれば、2時間くらいは平気でいけますね。

あと、軒数をまわることも心がけています。いつも行く決まった店があるのは悪いことじゃないんですが、そこしか行かなくなると、どうしても傾向が偏ってしまいます。

たとえば僕は、通勤途中にあって夜も23時まで営業しているっていう理由で、新宿ルミネのブックファーストによく行くんですが、そこの影響を受けすぎると、自分の編集する本が「ブックファースト新宿店で売れそうなテーマ、著者、装丁」に偏ってしまう。でも世の中は、ブックファーストみたいな本屋ばかりじゃないし、ルミネに来るような、わりと新しいもの好きな20〜30代の若い読者ばかりじゃないですよね。

ブックファーストさんで売れる本もつくれれば、郊外のTSUTAYAさんにぴったりハマるような本もできる。八重洲ブックセンターさんで映えるような重厚で信頼感のあるビジネス書も出せる……それくらいの引き出しの多い編集者でありたいのですが。あくまで願望ですが。笑

ーープライベートではどんな本を読まれているんですか?

プライベートと仕事の境界はきわめて曖昧ですが……まあ乱読ですね。学生のときに読んだ浅羽通明さんの影響で、橋本治さんの本は(全部は追いかけきれませんが)好きで見つけたら買いますし、人文系の読みものや新書なんかも、面白そうだと買っちゃいますね。

ビジネス書では、仕事観にかかわる本が好きです。常盤さんが編集した『マイクロソフトでは出会えなかった天職』とか、三田のコート・ドールというフレンチの名店のシェフが書いた『調理場という戦場』は、よく人にも勧めています。このあたりに興味がある方は、宣伝になりますが『働く理由』(小社刊)もぜひ読んでください。

小説やコミックスも読みます。保坂和志さん、絲山秋子さん、藤谷治さんとか、新刊が出ればだいたいチェックしてます。このあたりは装丁や造本もいいですよねー。

自分の趣味や興味にはまらなくても、ベストセラーや話題書からは、コピーライティングや装丁、デザインなど学ぶところが多いです。たとえば最近だと幻冬舎新書の『日本を貶めた10人の売国政治家』。帯のコピー(“ワースト第3位=小泉純一郎。ならば2位、そして1位は誰だ!?”)が秀逸ですよね。こういうふうに、印象に残ったコピーとか、面白いと思ったものを自分の中にストックしていくんです。 あと、料理本も好きですね。趣味と実益をかねてます(笑)

ーー料理されるんですね。得意料理はなんですか?

今は、家の近所に良い魚屋があるので、そこで旬の魚を買って焼いたり煮付けにしたりしています。けっこう環境やツールに左右されるんですよね。ルクルーゼの鍋を手に入れたらラタトゥイユとか煮込み系の料理に凝るし、中華街で蒸し器を買ったら蒸し物ばかり。京都の有次(老舗の包丁屋)で包丁を買ったら、野菜を刻むのが好きになったりとか……。

ーーレシピがネット上にあふれている中で、それでも料理本を買われる理由って何ですか?

そ、それは難しい質問ですね。。
たとえば、ブリを買ってみたけど、どう調理しようかって迷ったときには、圧倒的にネットが強いですよね。クックパッドみたいなレシピ検索サイトもあるし、ググれば何か出てきますから。

僕は料理本については素人なので大したことは言えないのですが、見ていると、傾向が3つくらいに分かれている気がします。ひとつめは、料理研究家の方(たとえばケンタロウさんとか栗原はるみさん)のキャラクターや世界観を前面にだしたもの。2つめは、一般の方が綴っている料理ブログの書籍化。宝島社さんなんかが上手ですよね。で、3つめは、「おつまみ横丁」「365日たまごかけごはん」「作ってあげたい彼ごはん」みたいな企画もの。

話はそれるのですが、料理研究家で自サイトを充実させていたり、ネットをうまく活用している人っていないですよね。なぜなのか、前から気になっているんです。もちろん、写真とかスタイリングなどにかかる準備や人手を考えたら、雑誌や書籍のほうが無料のwebよりもいいのは分かりますけど、でも、先行者利益なんかを考えたら、たとえばケンタロウさんみたいな人が何かやったらいいのになー。




自分とともに歩んでいる「夢かな手帳」シリーズ

「夢をかなえる手帳」シリーズは<br />
ディスカヴァー・トゥエンティワンでの<br />
自分のキャリアでもあります

「夢をかなえる人の手帳」シリーズには特に思い出があります


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ーー今までたくさん本を編集されている中で、思い出に残る本はありますか?

全部の本にそれぞれの思い出があります。でもあえて挙げるなら「夢をかなえる人の手帳」シリーズでしょうか。これは僕がディスカヴァーに転職して間もなく送られてきた持ち込み原稿が出発点で、その翌年(2003年)に最初の書籍『夢をかなえる人の手帳術』が出て以来、累計110万部を超えるシリーズになりました。

企画原題は『人生をスケジューリングしよう』で、それもとても素敵だったのですが、もう少し実用テイストを入れれば書店さんが売りやすいだろうということで、『夢をかなえる時間術』になったんです。でも、時間の使い方が大切なのはわかるけど、時間術っていうタイトルだと今ひとつ抽象的で、本を買ってまで勉強する気にならない。そこで「手帳術」という言葉が浮かんできたんです。

書名に「手帳術」とつく本は、当時ほとんどなかったんですよ。数年前に一冊出た程度。それで、干場(社長)の発案で“人の”を入れて、『夢をかなえる人の手帳術』というタイトルになったんです。 これはすごく反響がよくて、2002年に始まった「ほぼ日手帳」とともに、手帳術ブームのさきがけになったと思っています。
入社したときに手がけた企画で、それがたくさんの人の手にわたって、今でも毎年出ているわけで、これが自分のディスカヴァーでのキャリアでもあるし、思い入れはとても深いですね。

(続く)

ディスカヴァー・トゥエンティワン 千葉 正幸さん vol.2

更新日: 2010年 4月 28日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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