プライム涌光 中野 和彦 さん

心が動く瞬間を書き留める



——企画はどういうところから立てられますか?

一番多いのは人と話をしているときです。著者の方、ライターの方、もしくは編集プロダクションの担当の方、出版コーディネーターの方と意見交換をしている中で、企画がどんどん膨らんでいくことが多いです。そして、次はその膨らませたものをベースにして時代の流れを考慮して煮詰めていきます。

——本を作る上でのこだわりはなんですか?

ビジネス書や新書は知識を提供するものが多いんですけど、頭で面白いと思うだけではなく、読者に最終的に心に落ちるような本作りをこころがけています。ただ情報が欲しいならインターネットで検索すればいいことを、あえて本を買って読んでもらっている。だから情報の羅列ではなくて、こんな面白い知識を得られてよかったとか、なんだか頭がよくなったような気がするというように、読み終わって本を閉じたときに、いい気分になってもらえることを目指しています。

——そのこだわりのために普段から気をつけていることはありますか?

著者と話すときは、自分の心が動いた瞬間をきちんと書き記しておくようにしています。著者の方はその道のプロなので、普通の人がわからないようなことに気がつかず当然と思って話されることがあるんです。だから読者目線で話を聞くようにしています。そうすると著者は簡単に言っているけど、実はすごいということが見えてきます。そのような印象に残ったところがその本の“核”になることが多いです。

あとは、著者の方との会話だけではなくて、日々言葉にはアンテナをはっています。書店でいいタイトルの本を見つけたとき、電車で中刷り広告でいいコピーを見たときは「やられた!」と思うことがあります。それは「こういう言葉を使ったからいい響きなんだ」と頭で考えているのではなくて、直感で心がゆさぶられているのです。そういった感情を動かされたものこそが自分の中に残るんですよね。

それらを書き留めた蓄積は本を作るときに意外と大切になってきます。テーマは違っても、「あの言葉の響きをここに当てはめてみよう」と自分で採取したデータから臨機応変に呼び起こしてくると、意外な化学反応が起きることがあるのです。だからこそ、日々の小さな発見の積み重ねを大切にしているのです。



一つでも多くのフックを出す



——他にこだわっていることはありますか?

入り口を広く構えることですね。少しでも多くの読者の興味・関心に引っかかるように、こっちにもあっちにも一つでも多くのフックを出して、対象読者の幅を広げたいと思っています。

——フックとは?

多くの人に興味を持ってもらえるように、いろんな切り口からテーマを提示するのです。例えば『いい仕事をする人の3つの断り方!』は普段からビジネス書をよく読まれる30代、40代男性をまずは意識した本なのですが、従来のビジネス書読者よりももう少し幅を広げて、女性にも手にとっていただけるようなフックを出しました。

いい仕事をする人の3つの断り方!
臼井 由妃
青春出版社
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まず内容については、「無理なくできる」というところがフックになっています。著者の臼井由妃さんは「面と向かってきっぱりと断るのはやめましょう」というスタンスです。そうすることによって断ることへのストレスが軽減して、無理なく断ることができますよね。そういった女性ならではのやわらかい視点から書いていただきました。

そして何より臼井さんは3億円の借金経営だったのを、年商20億円を超える企業にまで立て直したという経歴を持っていらっしゃいます。その成功体験に基づいて、控えめがちな日本人でも、気のやさしい女性でも、無理なくできる方法を紹介していただいているので、すごく説得力があります。装丁もビジネス書としてはやわらかめに、休日に女性が外出先で読めるような、暖色を使ったデザインを意識しました。

(続く)

プライム涌光(青春出版社) 中野 和彦さん vol.2

更新日: 2010年 4月 28日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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