三笠書房 清水篤史さん_その4
{ Tags: 三笠書房, 書籍編集者 \ 1 月25 }理解不可能な本こそが原動力
――普段気をつけていることはありますか?
編集者としての基本ですが、書店には定期的に足を運ぶようにしています。ウィークデーはなかなか時間がとれないので、週末に書店にリサーチに行きます。
もちろんネットから書籍の情報を入手することもできますが、やっぱり本はアナログの物体ですから、実物を触って中を広げて見ないことにはイメージできません。そして本の装丁を考えるときも、その本単体のデザインだけではなくて、書店でどんな本に囲まれて並ぶか、というバランスも重要になってきますから、売り場には頻繁に行きますね。
書店に行くと斬新な本をたくさん目の当たりにします。装丁の使い方、タイトルなど、中には理解不可能なものもあります(笑)。でも、そういった理解不可能なものが僕の原動力にもなるんです。「こんな発想があるのか!」と焦るんです。そうすると、僕はせっかちなのですぐ仕事をしたくなるんですよ(笑)。そうやって自分を追い込んでいるのかもしれません。
責了日まで諦めない!
――ベストセラーに法則があるとすれば、何だと思われますか?
それに即答できれば、実際の仕事で苦労をしなくてもすむんですが。法則なんかないんじゃないですか。ただ、ベストセラーを生み出している編集者と話していて感じるのは、例外なく情熱的な方ばかりですね。彼ら、彼女らのお話を聞いていると、ベストセラーは「編集者の情熱」からのみ生まれるように思います。つまり、情熱のある編集者はベストセラーを出すし、ベストセラーは情熱のある編集者が編集をするということですね。
――情熱とは何でしょうか?
情熱とは、その本について、著者よりも誰よりも、一番真剣に深く考えているということだと思います。僕の中で「責了日までは諦めない」という標語があるんですよ。著者の先生は原稿を書いたら、もしくはゲラを戻したら終わりですけど、編集者は終わりではないんです。いくら会社がOKを出しても、著者がOKを出しても、僕は責了直前の最後まで考えます。本は最後の最後までどうなるかわからないし、逆に言えばどうにでもなるんです。もしかしたら、直前になって帯コピーのいい文言が浮かぶかもしれない。読者のニーズにもっと近づけるコピーが浮かぶかもしれない。
――責了日まで考えることが尽きないですね。
僕がまだ若い頃、同じ年代の編集者が何人か集まって仕事の話をしたことがあるんです。そこで、「本のタイトルが決まった後、どこに一番力を入れるべきか」という話になったんですね。「俺は前書きだな」とか「俺は帯コピー」「いや、冒頭の一行だ」などなど、みんないろんな意見を言っていたわけです。僕は「見出しですね」と言ったと思います。そして、その日から何年も経ったあとに、ようやく答えのようなものがわかったんですよ。それは、その話し合いで出た、すべてのことなんです。どれか一つではなくて、その全部に力を入れることが情熱のある編集者なのだと思います。本というものは、工夫をこらせばこらすほどいいものになると僕は考えています。そして、その本についてそこまで真剣に考えるのは担当編集者しかいないですよ。本作りに終点はないのでしょうね。
(続く)

八木 将司
ベストセラーを作成するには、最後まで諦めない情熱が全てである。
この清水さんの意見に強く共感いたしました。
私は、本作りではありませんが、日本のものづくりの改革をITを使って支援するという仕事をしています。
その仕事をしていていつも思うことですが、ヒット商品を生み出す設計者に共通するのは、そのモノにより多くの人に利便性や新しい価値を提供したいという情熱だと思っております。
清水さんの熱い思いに共感しました。
編集部
この度はコメントをいただきありがとうございました。
私も清水様をインタビューさせていただき、その仕事への情熱に感銘いたしました。
今後の予定といたしましては、今春に書籍化の予定がございます。
詳細につきましては、追ってサイトにてお知らせいたします。
今後とも編集者jpをよろしくお願いいたします。
編集者jp