
ブログで「面白い」と思ったら即アタック
――ふだん、どうやって著者を見つけているのですか。
そうですね。以前は雑誌や本が中心でしたが、現在はネットで探すことも多いです。
最近では、『まずは、「つき合う人」を変えなさい!』『「やり残しゼロ!」の仕事術60』『誰とでも15分以上 会話がとぎれない!話し方 66のルール』という本がそうです。ブログを拝見して「面白い!」と思ったのでお話しを伺いに行きました。
――決め手になった理由は何ですか。
たとえば、『まずは、「つき合う人」を変えなさい!』のときは、著者のHPに掲載されていた自伝的エピソードがとてもインパクトがあったからです。現在、何億も稼いでいらっしゃる方ですが、社会人としてのスタートは派遣社員だったそうです。手元にあるお金がわずか50円だけという貧乏を味わったり、信頼していた人にだまされたりするなど、過去を赤裸々に打ち明けていらっしゃいました。しかもとても情感のこもった語り口で。
そのとき思ったんです。ここまで裸になれる方って珍しいなと。
一方、成功している現在のブログの語り口は、とても穏やかで別人のようです。なぜ、こんなふうに変貌されたのか興味がわきました。「ぜひその理由を知りたい」そう思い、お話しを伺ったところ、やはり読者が求めている感性、ご経験、人生観をお持ちの方だと直感しました。
ブログの文章に、読む人を一定の考え方に誘導するような操作性を感じなかったのも新鮮でした。ブログを読む方に対して「同じ轍を踏まずに頑張って欲しい」こんなメッセージを送っていらっしゃるように思い、素敵だなと感じました。
――なるほど、読者への応援メッセージが詰まっていたのですね。
はい、そうなんです。原稿のご執筆時も、何を伝えたいかだけでなく、読者にどう伝わるか、どう響くかについて徹底して考えていらっしゃいました。読者の目線に合った、温かいメッセージが詰まった本になっていると思います。読者層も20代〜50代の幅広い方に手にとっていただいています。現在、5刷目までいっており、今後も売れ続けて欲しい一冊です。
未来に希望を感じられる本をつくっていきたい
――最近注目していることはありますか?
最近というと、すぐにパッと思いつかないのですが……。
実は、いつも心のどこかに留めおいているのは、時代の病(やまい)的なものはなんだろう、それを変える手だてはないか、という視点です。様々なメディアで情報を得たりするときも、そうしたことに意識が向かっていると思います。
ずっと気になっているのは、何故この国では、「自死率」が多いのだろうということです。2009年段階のWHOの発表では、世界で6位。欧米先進国、及び中国や韓国と比べると、1位の自死率だそうです。しかも自死未遂の方は、公表されている人数の10倍はいらっしゃるそうですね。
自死を選んだ方の苦しみははかりしれませんし、その方と縁のあった方々も、深い悲しみと喪失感を感じながら生きていくことになります。とてもつらい、悲しい連鎖です。ときには立ち上がる気力を失ってしまうときもあるのではないでしょうか。
なぜ、こんな悲惨な状態になっているのか。どうしたら、その現状を変えられるのか。どうすれば未来に希望を見いだせるようになるのか。編集の仕事でできることはわずかですが、その一翼を担う本をつくりたい。そんな思いが無意識的ではありますが、いろいろな企画を考えるバックボーンにあるような気がします。
アイディアは「病的なもの」から生まれる
——企画を生み出すコツを教えてください。
自己啓発書をつくるときは、自分の中にある「病(やまい)的なもの」をじっくり観察することが多いです。あるいは、ある特徴的な人を観察して、「なぜこんな行動をとるのか」を考えてみたりして、企画の切り口を探しています。
もちろん、いろいろな方の話を聞いたり、講演会やセミナーに参加してアイディアが生まれてくることも多いのですが、これまで当たった企画の多くは、ふだん自分のなかで、じっくり時間をかけて育っている(笑)「病的なもの」を言葉にしたときなんです。
「病的なもの」といっても、何らかの病名がつくような大げさなものではありません。
例えば、ずっと前に言われたひと言に傷ついて、5年以上恨みがましく思っていたりする、こんな心理状態を「病的なもの」と名づけています。
とはいえ、深く傷ついて立ち直れないほど重いものでもないんです。
とにかく何年も愛おしむように、じっくりその思いをかみしめて手放さないでいる、もう一人の自分がいるわけです。いじらしいなと思います。基本的にどんなことでも、「ネタになる!」と思っていますので、日々サンプル体が育ってくれるのは、まあいいことかなと思っています。
15万部を突破した『人は「暗示」で9割動く!』もそんな一冊です。ちょっとした言葉、出来事にも影響を受けてドギマギしてしまう自分がいるんです。でもこれって、意外と普遍的なテーマではないかと思って企画しました。
もともと催眠療法で使われている「暗示」という言葉に興味をもっていました。でも、日本では「暗示」そのものについてわかりやすく説明してくれている本が少なく、催眠療法家の方向けの専門書のなかで、「暗示的示唆」の方法を紹介しているぐらいでした。もっと深く知りたいと思ったのも事実です。
――もともと、興味をもっているキーワードでもあったんですね。
はい。そうなんです。
――企画を生み出すときに役に立った本はありますか。
企画というのが、本のタイトル、切り口、コピーという意味では、私を育ててくれた原点の本は、ジェームス・W.ヤングの『アイデアのつくり方』です。入社1〜3年ぐらいは、面白い企画がなかなか思いつかず、毎回ウンウン唸っていました。
そのときもでも意識的に『アイデアのつくり方』で書かれていた方法を試していました。企画の方向性をぼんやり思いついているけれど、決め手となるコピーが見つからない。こんな時に、関係する書籍、新聞、雑誌、ネットなどをダーッと大量に読んで、しばらく寝かす。その後、コピーを連打する。
これを繰り返していったら、あるときスッといいコピーが出てきたんです。「よしっ」と手応えを感じた瞬間です。本当に嬉しいものですね。この間、上司の絶え間ない指導があったことは言うまでもありませんが。その後も、簡略化した形で続けていき、今に至っています。現在でも、「いまは情報をインプットしている状態だな」「いまはアイデアを寝かしている状態だな」と意識していることも多いですが、無意識のうちに頭の中で作業が続行している状態の時などは、スッとコピーが出てくることもあります。脳ってすごいと思います。










[...] (続く) [...]