幻冬舎 四元 恭子さん

意見をぶつけ合える著者との関係



——仕事をする上でのこだわりはありますか?

やはりタイトルですね。自分ではタイトルが9割を占めると思っていたのですが、10割と言う方もいます。


タイトルだけ目立って中身がない本は論外ですが、それ以前にどんなに中身がよくても、タイトルがイマイチだったら、手にとってもらえないと思います。そうすると、その本も存在意義を見出してもらえないので悲しいでしょう。
だから最近では、タイトル10割と考えるくらいで、ちょうどいいのかなとも思っています。


——タイトルをつけるコツというのはなんでしょうか?

タイトルはなるべく企画の段階で決めるようにしています。原稿を書いてもらう前に決まっているほうが、軸がブレないですし、強いメッセージが打ち出せると思うからです。もちろん、原稿を書いてもらう前に決まらなかったり、最後の最後で変更になることも多々あるんですけど(笑)


タイトルを決めるときには、著者に相談することもあります。企画の段階でバシッと決まっている場合は別ですが、本に対して、編集者と同等の情熱をもっている著者の頭もお借りしたいと思っているからです。
そのときに、互いに思っていることを言い合える関係を作っていることが大切だと思います。
例えば、著者に「このタイトルどう?」と言われて、自分の中でイマイチだと思っても、いい関係ができていなかったら、なかなか言いづらいですよね。
信頼関係が出来てくると、本当に言いたいことが言い合えますし、そんな中でブレストを繰り返し、そのあとにいいタイトルが出てくることも多いような気がします。


打ち合せの中で、著者がぽろっと言ったひとことがタイトルになることもあります。その瞬間は最高にうれしいですね。「見つけた!」という感じです。何時間話しても浮かんでこないこともありますが、納得のいくタイトルが出てくるまでとことん話し合います。
ただ入り込みすぎると、タイトルを客観視することができなくなり、よし悪しの判断がつかなくなることもよくあります(笑)


——どのように著者とのいい関係を作るのですか?

なるべく直接会うか、電話で話すように心がけています。私は意見を言い合うのが好きなので、タイトルを決めるだけで3回お会いしたこともあります。お忙しい方とは、もちろんメールでのやりとりになりますが。ただ、メールだと気持ちを伝えるのが本当に難しい。話せばすぐ済むことなのに、メールだとどんどんややこしいことになっていくことが多いように思います。



「また会いたい」。自分の率直な思いをタイトルに





——「社員のモチベーションは上げるな」というタイトルはすごく印象的ですね。

これは決まるのが早かったですね。宋文洲さんの本は昔から好きでよく読んでいて、ネットで宋さんのソフトブレーンのセミナーが開催されるのを知って、それに応募したんです。
「社員のモチベーションをあげてはいけない」というセミナーのタイトルに引かれて、どういう話をされるんだろうと聞いていたのですが、なるほど!と思いました。社員のモチベーションは本当に上げてはいけないんだな、と実感したんです。
それで、宋さんに「社員のモチベーションはあげるな」というタイトルで本を書いてくださいと依頼しに行きました。最初は、「もうすぐ中国に帰るので、新規の執筆はお断りしている」とおっしゃったのですが、タイトルの話をしたら、OKをいただけて。そのあとは校了までスムーズに進みました。



社員のモチベーションは上げるな!
「社員のモチベーションは上げるな!」
 [単行本]
 著者:宋 文洲
 出版:幻冬舎
 発売日:2009-07-25
 価格:¥ 1,000
 by ええもん屋.com



——この本のポイントはなんですか?

「社員のモチベーションをあげるな」というテーマを終始貫いたことですね。あとは装丁も気に入っています。写真を使って、なんとかインパクトを出したいとお願いしたら、「顔が切れちゃってもいいですか?」と聞かれたので、どんな風になるんだろうと思っていたら、斬新な写真の使い方をしてくださいました。


——ヒット作『「また会いたい」と思われる人の38のルール』について聞かせてください。



「また会いたい」と思われる人の38のルール
「「また会いたい」と思われる人の38のルール」
 [単行本]
 著者:吉原 珠央
 出版:幻冬舎
 発売日:2009-10-07
 価格:¥ 1,365
 by ええもん屋.com





著者の吉原珠央さんにとっての処女作です。吉原さんに初めてお会いしたとき、キレイなだけでなく、すごく感じのいい方だな、という印象を持ちました。
また、そのとき私が吉原さんにいろいろと質問をして、答えてもらっていたところ、突然「あ、ごめんなさい、私ばかりお話ししちゃって。四本さんはどういった経緯で編集者になられたんですか?」とおっしゃったんです。その気遣いに驚きましたね。


仕事の枠を超えて、吉原さんにまた会いたいなと思い、その気持ちをそのままタイトルにしました。当初は『「また会いたい」と思われる人の秘密』ということで進めていたんですが、最近の売れ筋の本に多用されている「数字+ルール」というフレーズを組み合わせて、いまのタイトルを決めました。


おかげさまでこの本は19万部を突破しました。発売して5カ月経ちますが、いまでも毎日のように「この本を読んでよかった」「少しでも実践できるよう頑張ります」というような感想のハガキが届きます。
こうやって一人でも多くの人が「また会いたい」と思われる努力をし、それが幸せな結果へつながっていくとしたら、編集者としてとてもうれしいです。


(続く)




幻冬舎 四本 恭子さん vol.3

更新日: 2010年 4月 29日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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