記憶に残る、あのヒット作はどうやって作られたのか。『おつまみ横丁』第2回は、田口さんの本づくりポリシーと、ヒットの経緯をご紹介します。




担当編集 田口勝章さん



本物の居酒屋のような撮影現場



――撮影の雰囲気はいかがでしたか?

瀬尾さんとは以前、おつまみ関連で少し仕事をしたことがあったんです。また「酒とつまみ」で料理を掲載していらっしゃることも知っていたのでお願いしたら、まさに自分の真骨頂だ、ということで引き受けてくれました。スタイリストの森下さんは『おうちで居酒屋』のときに一緒で、センスがすごく良いし、頑張ってくれたのを覚えていたので。写真のクオリティやスタイリングについては、カメラマンの鵜澤さんと森下さんの持っているセンスが好きなので、彼らにお任せしました。僕がこだわったといえば、彼らを選んだという点でしょうね。

そういうスタッフの雰囲気が非常に良かったです。撮影現場はもう「撮影」というよりは居酒屋みたいでした。僕が遅れていくと、みんな試食しながらちょっとだけ呑んでます、という状態でニコニコしていて、瀬尾さんもおかみさんみたいで(笑)。たぶん今までで一番楽しかったですね。





イメージを共有して一丸となって作る



――良い本になった秘訣を教えてください。

僕は社内の編集者にもよく言うんですが、こういう本にしたいというイメージを、スタッフみんなで共有して、ガッと一丸となって作ることが大事だ、と思っているんです。ここに全力を傾けられるスタッフが揃うこと。こういうふうに仕事をこなせばこうなるだろうというのではダメで、単に情報をまとめただけになってしまう。何かしらのエッセンス、たとえばこの本でいえば、スタッフみんなが面白がって呑みながら楽しんで作る、というようなものがないと、良い本にはできないと思うんです。






長崎から火がつき、新聞とテレビで全国へ



――売るために仕掛けたことはありますか?

発売した当初から、わりと動きは良かったんです。5カ月で4万部くらいになっていたので、その数字をもとに、営業部長が頑張ってくれました。
紀伊国屋書店の長崎店が試しにレジ横に置いてくれたところ、いきなり、販売部数がそれまでの2倍、3倍に伸びたんです。それを見て、新宿本店の1Fでも大々的な展開をしてくれました。

料理本はだいたい上の階やフロアの奥の方にあるので、購買層は30代以上の女性が7割くらいなんですが、レジ横や、店に入ってすぐのコーナーエンドに置いてくれた書店は男女比が半々くらいでしたね。年齢層も幅広かったです。



おつまみ横丁書店展開1

紀伊國屋書店新宿本店 一階新刊売場での展開光景




ちょうど7万部くらいまでいった頃に、朝日新聞の書評『売れている本』で取り上げられたんです。担当の方から電話がかかってきたタイミングもよくて、7万部が条件だったそうなんですよ。あと1カ月早かったら掲載してもらえなかった。ああいう書評のような、見る人が必ず見ている場所、というのは大事ですよね。



そのあと、朝日新聞を見た『王様のブランチ』でも取り上げてくれて、広がっていきました。テレビは告知能力が格段に違いますよね。普段書店に来る方は人口の何割かといえば本当に少ないですが、テレビなど違うメディアで知った人たちが来ると、面白いくらいに部数が伸びました。それがなければ、やっぱりそれなりの数字で止まっていたと思います。






縁がつながって売れた本



――田口さんが考える、ヒットの理由はなんでしょうか?

いろいろなところで意外なことで縁がつながって、結果的に売れた、という感じですね。ここに売ってやろう、というようなそんな狙いすましたセンスや方程式は僕にはないです(笑)。楽しそうな本ができたというのが要因の1つだと思うんですけど、書店の方に「面白そうじゃん」と思ってもらえたということが大きいと思います。紀伊国屋の新宿本店では20面くらい展開していただいて。また紀伊国屋さん自身で「おつまみ横丁」の大きな看板を作ってくれたことも、本当にうれしかったです。記念写真撮っちゃいましたもん(笑)。



おつまみ横丁書店展開2

紀伊國屋書店新宿本店 一階エントランス広場での展開光景





おつまみ横丁―すぐにおいしい酒の肴185
「おつまみ横丁―すぐにおいしい酒の肴185」
 [新書]
 著者:編集工房桃庵
 出版:池田書店
 発売日:2007-09-15
 価格:¥ 1,050
 by ええもん屋.com



(終わり)


『おつまみ横丁』(池田書店)vol.2

更新日: 2010年 4月 28日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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