日本人の知らない日本語

記憶に残る、あのヒット作はどうやって作られたのか。【あの本の裏側】では、企画の経緯から発売まで、本づくりの過程を2回にわけて紹介していきます。

2冊目にご紹介するのは、メディアファクトリーの『日本人の知らない日本語』。今年2月に発売された続編『日本人の知らない日本語2』も好調です。編集担当の羽賀千恵さんににお話を伺いました。






日本人の知らない日本語
「日本人の知らない日本語」
 [単行本(ソフトカバー)]
 著者:蛇蔵&海野凪子
 出版:メディアファクトリー
 発売日:2009-02-18
 価格:¥ 924
 by ええもん屋.com






「笑って、学べる」がヒットの理由



――企画の経緯を教えてください。

原案は「コミックエッセイプチ大賞」第12回の受賞作です。もともとは日本語学校での学生の勘違いネタを紹介した、笑いがメインの作品でした。もちろん笑いの要素は書籍でも活かしていただいているのですが、それだけだと、日本語学校や日本語を勉強する外国人に興味がある人しか読まない、読者対象が狭いものになってしまいます。そこで広く一般読者に受け入れられるよう、日本語に関するトリビアを増やして、内容にうまく絡めていただくことにしました。



――もとの漫画に知識要素が足されたということでしょうか。

そうですね。「コミックエッセイ」というジャンルは笑いや共感の要素が重要なのですが、より一般の日本人読者にも読んでもらえる作品にしたかったので、日本語を学べる要素をふんだんに入れていただき、書籍化しました。受賞されてから企画が通るまでに半年、そこから半年で発売に至りました。







3月より前に発売したい!



――制作期間中にこだわった点を教えてください。

著者のお二人は非常に密にやりとりされていましたね。凪子先生はもともと日本語のプロですし、蛇蔵さんもどんどん日本語を勉強されてセミプロみたいで、知識を消化されてうまく漫画にしてくださいました。私自身はその分野については門外漢なので、馬鹿な生徒役という感じで(笑)。漫画を見て分からないところをご相談してどんどんかみ砕いていただきました。

「笑って、学べる」ためにはとにかく敷居を下げることが大事ですし、読み進めながら途中で悩んだりつっかえたりせずに気軽に読めるようにお願いしました。それが編集の役目でもあると思っています。



――実際の制作期間はどのくらいですか?

かなり無理していただきました(苦笑)。半年くらいだと思います。企画が通ったのが夏くらいなんですが、営業と話し合って発刊時期を2月と決めさせてもらいました。刊行点数の多い3月だと、営業側も書店側も、新人作家の本を手厚く扱うのが難しいからです。それではブレイクできる芽も潰れてしまうかもしれない。著者のお二人とも本業があるので「無理かも…」と仰っていましたが、そこをなんとか、とお願いしました。

また、ちょうどそのタイミングで日本語本のブームもきていたんです。麻生首相が漢字を間違えたりとか(笑)。それの波がまだ書店に留まっている間に発売したいという思いもありました。





初速の勢いにのって次々と販促を



――売るために仕掛けたことはありますか?

これはと思ったブロガーや有識者の方に本をお送りして、書評を書いていただきました。

ちょうどその頃に水村美苗さんの『日本語が亡びるとき〜英語の世紀の中で』がヒットしていたんです。この本は英語が世界共通語になりつつある現状から見た日本語の危うさについて書かれていて、そうした「外側から日本を見る」という視点がもてはやされる風潮にあると感じました。

『日本人の知らない日本語』は、同じ構図でも、海外の方が日本語を勉強しているという嬉しさがあったり、より日本人心をくすぐる感じに描いてくださっています。『日本語が亡びるとき』の書評を書かれていたアルファブロガーの方々にお送りしたところ、小飼弾さんが手厚く書評を書いてくださいました。ほかにも岡田斗司夫さんや、漫画系のブロガーの方々にお送りしています。

この本は、ちょっと知識欲のある方や、真面目な方が手にとってくださって、そこから一気に広がったと思うんですけど、そういった方々の入口としてブロガーさんに取り上げていただくのは効果的だと思います。そのブロガーさんと本の読者層がぴったり合うと、部数も伸びますよね。



あとは書店で立ち読みができるようにしました。今の読者は中身をよくよく検討しないと購入まで行き着かないのです。書店によっては本の劣化を防ぐためにシュリンクされるので、その場合は立ち読み用に書籍の一部を抜き刷りして、小冊子を作って配布しました。

『日本人の知らない日本語2』も同様に小冊子を作りました




AmazonにもFlashの動画を上げて、中身が見えるようにしています。既にブームになっているとか、この著者なら間違いがない、という本ではなかったので「なんか面白そうだけど、本当に面白いかどうか確かめるまでに至っていない」という層に買っていただこうと。発売直後から書店でわりと動きがよかったので、それを促進させるために後からアップしました。

(続く)




『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)vol.1

更新日: 2010年 4月 29日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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