日本でいちばん大切にしたい会社

記憶に残る、あのヒット作はどうやって作られたのか。【あの本の裏側】では、企画の経緯から発売まで、本づくりの過程を2回にわけて紹介していきます。

3冊目にご紹介するのは、あさ出版の『日本でいちばん大切にしたい会社』。2008年4月に発売され、「泣けるビジネス書」として多くのメディアで取り上げられました。今年1月には第二弾『日本でいちばん大切にしたい会社2』も刊行。編集担当の佐藤社長にお話をお伺いしました。






日本でいちばん大切にしたい会社
「日本でいちばん大切にしたい会社」
 [単行本(ソフトカバー)]
 著者:坂本 光司
 出版:あさ出版
 発売日:2008-03-21
 価格:¥ 1,470
 by ええもん屋.com






なんとしても売りたい本だと思った



――発売から数ヶ月後にブレイクした印象があります。販促活動はどんなことをされましたか?

最初の2〜3カ月は書店を中心に販促活動をしました。営業からは当初「どういう本なのか分かりづらい」「どんな人が買うのかわからない」といった声がありましたよ。書店の方からも「大切にしたい会社の本なら、会社ランキングがあるほうがいい。1位はトヨタでしょうか?」という、本のコンセプトとはまったく異なる声もありましたし。確かにわかりづらかったのかもしれません。

でも、なんとしても売りたい本でした。初刷部数を増やし、書店で面に陳列されるように営業にも力を入れてもらいました。売れるか売れないかわからないけれど、書店に頼みこんで陳列してもらいなさい、おそらく売れるから、と。やり方次第で売れる本も売れなくなるし、むずかしいかな、と思う本でもある程度いけるというのは、やっぱりありますからね。もちろん中身が伴っての話ですけれど。



――営業の効果はいかがでしたか?

面で陳列されるようになってからは、ぽつぽつと売れるようになりました。(店頭で)動いてます、という声をよく聞くようになって。ビジネス書だけでなく、一般書のコーナーでも動いていましたし。
そこで広告費をかなり投入し、新聞広告を何度か打ちました。その間にテレビなどマス媒体で取り上げられ始めて。最初は「ニュースJAPAN」や久米宏さんの番組だったと思います。本の中で取り上げられている日本理化学工業株式会社のエピソードがドラマ化されたり、「カンブリア宮殿」で紹介されたり……そこからはもう勢いに乗りましたね。






――書店以外ではどんな販促をされましたか?

他の出版社でもされていることでしょうけれど、こういう内容の本であれば新聞社系の方に評価されるんじゃないかと思って、各紙の一面下のコラム欄の担当者の方に本を送りました。それで読売新聞の「編集手帳」の方からごていねいなハガキをいただいたりしましたね。

また、巣鴨信用金庫さんで坂本先生のセミナーを開催したところ、お客様の熱気がすごかったので、これはと思って信用金庫さんにアプローチしました。私個人名で、信用金庫の理事長さん宛に献本したんです。(信用金庫の)お客様にはおそらく大変参考になる本だと思います、ぜひご紹介ください、と。理事長さんの中にはご自身で300冊くらい買って職員に配布なさったり、個人名でプレゼントしたいからと大量に注文してくださったり。

そういう反響はたくさんありましたよ。ネットでもクチコミがたくさん出てきましたし。



読者の声は公式ブログでも紹介されています





物語そのものが説得力を持つ



―坂本先生のことは以前からご存知だったのですか?

2007年に、知り合いの公認会計士さんの経営計画発表会に誘われたんです。そこでは毎年講師を招いて講演会を行っていて、それが坂本先生でした。講演会のテーマは快進撃を続けている会社についてだったのですが、最初に5分間だけ、基調講演とは別のテーマで話をさせてください、と仰るんですよ。そのときに日本理化学工業の話のサビ部分を話されました。そして、私はこういう会社は潰してはいけない、一番大切だと思うのはこういう会社です、と結ばれて、本題に移りました。

でもその5分間で、500人の参加者がいっぺんに、もっていかれてたんですよね。ああ、これはすごいなと思って。私は坂本先生と面識がなかったんですが、講演の後すぐに公認会計士さんに連絡先を教えてもらったんです。それでお電話をして、数週間後にお会いしてスタートしました。




―そこから本になるまでの経緯を教えてください。

一つ考えたのは、日本理化学工業の大山社長に、著者として本をお書きいただく道もある、ということでした。そんな腹案ももって、大山社長にもお会いしました。大山社長は人間的に非常にあたたかい、素朴な方でした。本人には特に「いいことをしている」という意識はないんですよ。養護学校の先生に頼み込まれて就業体験をさせ、次は社員の皆に頼み込まれて正式採用し、少女たちが働きやすいようにやってみた…いわばなりゆきです。そこが社長のすごいところですよね。そのまま50年続いて、いつのまにか社員の7割が身体障害者の方なんですから。
大山社長を著者として本を書くと、自分で自分を誉める形になってしまう。それは彼に似つかわしくないなと思って、やはり坂本先生に、第三者の目から紹介してもらって、大切にしたい会社だというメッセージを伝えた方がいいと考えました。




―そして今の形になったのですか?

内容としては、坂本先生の以前の著書『私の心に響いたサービス』(同友館)や『選ばれる大企業、捨てられる大企業』(同友館)に近いんですよね。ただ、これらは2ページ見開きで紹介していたり、どちらかというと事例集のようなものでした。でも先生の5分間のお話には、ほんとうの「物語」があるじゃないですか。それを断片化してしまうと説得力がなくなってしまう。だったら物語そのものを本にしたい、と思ったんです。
坂本先生とお会いしたら、日本理化学工業以外にも他にもたくさん良い会社があるとのことだったので、数社取り上げて、そこに先生のお考えをプラスしましょう、ということで今の形になりました。地域、業種で偏りがないように5社選び、コラムで9社紹介しています。



(続く)

『日本でいちばん大切にしたい会社』公式ブログ




『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)vol.1

更新日: 2010年 5月 6日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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