NHK出版 松島 倫明さん

2つの書籍から影響を受けたランニング



――愛用のグッズは、なにかありますか?

すごく変なモノなんですが(笑)。Vibram社の5本指シューズ「FiveFingers」です。





去年、『脳を鍛えるには運動しかない!』を作ったとき、いろいろと学ぶことがあって、それ以来ちゃんとランニングするようになったんです。運動すれば体にいいのはもちろんなんですが、脳の働きが圧倒的に良くなるんですね。例えばアメリカのとある学校では0時限体育というのがあって、授業の前の朝15分とか20分、子どもたちを校庭で走らせると、走った直後の1時間目や2時間目の授業の成績が如実によくなるんですよ。脳細胞が活性化して脳に情報を吸収しやすくなるんですね。こうして運動によって脳を活性化することは、ストレスや鬱、加齢といったことにも効果的だと最近の脳科学で証明されているんです。


脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方
「脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方」
 [単行本]
 著者:ジョン J. レイティ,エリック ヘイガーマン
 出版:日本放送出版協会
 発売日:2009-03
 価格:¥ 2,205
 by ええもん屋.com






――この靴は底がペタンコですね。この靴で走っているのですか?

そうなんです。やはり担当した翻訳書でちょうど先月発売になった『BORN TO RUN 走るために生まれた』という本から影響されたことなんです。この本はアメリカで20万部の大ベストセラーとなっていて、日本でもすでに3刷までいっています。


BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”
「BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”」
 [単行本(ソフトカバー)]
 著者:クリストファー・マクドゥーガル
 出版:日本放送出版協会
 発売日:2010-02-23
 価格:¥ 2,100
 by ええもん屋.com




そのストーリーは、メキシコにタラウマラ族という現代社会とは隔絶した社会で生きている人たちがいるんですが、彼らは「走る民族」として昔から有名で、サンダル履きでグランドキャニオンのような山岳地帯を二日間走り続けることが出来るんです。著者のクリストファー・マクドゥーガルもランニングが好きなのですが、走るとすぐに足を痛めてしまいます。靴のせいかと思って高価なシューズを買ってみたりするのですが、あるときサンダルだけで2日間も走り続けるタラウマラ族のことを知り、わたしたちがランニングについて知っていることが実はすべて間違っているのではないか、と考え始めるんです。それでランニングについて様々な角度から検証しながら、究極のランニングの秘密を求めてタラウマラ族のもとへ行き、一緒にレースをするという話です。

僕らが普段、ランニングシューズを履いて走ると、たいてい足はかかとから着地します。でも裸足で走ると、誰もが足裏の前の部分で着地するはずです。かかとでは痛くて着地できないんです。実は今まで人類は何万年もの間、かかとではなく前足部で着地して走ってきました。かかとで着地するするようになったのはホンのこの30〜40年で、だから身体がそれに適応していないんです。かかと着地による脚への衝撃は、前足部での着地よりも大きいのですが、それこそが、毎年ランナーの7割から8割はけがをすると言われる原因じゃないかという意見もあります。そこで今アメリカでとても注目されているのがベアフットランニングなんです。

素足で走るのは危険だしちょっと痛いのですが、これだと素足に近い感覚で走ることができます。そしてより身体が自然に、そして精神が自由に走れる感じがするんです。特に編集者ってアイディアを考えて練り上げることがとても大事ですよね。僕の場合、一番悩むのはタイトルなんですが、走っているといい考えが浮かんだりするし、大事なことがある日には、走って頭をすっきりさせてから会社に行きます。頭が煮詰まっているときこそ、ランニングはおすすめですよ。



これからも優良なコンテンツを作ることには変わりない



――今後作ってみたいコンテンツはありますか?

今はやっぱり、KindleやiPadといった電子ブック端末によって何がどう変わっていくのか、というのには興味がありますね。たとえばアメリカのコンデナスト社がGQ誌の電子版のデモをYouTubeにアップしていて、見てみると結構すごいんです。写真と映像とテキストを縦横無尽に組み合わせてあります。本にそういった別の要素がどのぐらい入ってくるかはわかりませんが、たとえば脚注みたいなものがリンクされて広がっていったり、ビジュアルブックが増えたりして、今までのメディアから拡張されたものが生まれてくるのは間違いないですよね。コンテンツをプロデュースして届ける人間としては、どうやってデジタルに合ったコンテンツを作り出していくか、例えば本を読んでいる途中で映像が入ってくるのはいいのか悪いのか、そんなことすらまだ分かってないじゃないですか。それはやっぱり実際に体験してみないとわからないのだと思います。そういう意味では面白い挑戦がこれからも続くと思いますし、すごく楽しみでもあります。
たとえ媒体が進化しても、最良の体験を生むコンテンツを作るということに変わりはありません。本はたった一冊で、人の人生を変える力がありますから、これからもそんなコンテンツを届けていければいいなと思っています。


――どうもありがとうございました。

NHK出版 松島 倫明さん vol.5

更新日: 2010年 5月 24日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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