
記憶に残るベストセラーの企画の経緯から発売まで、本作りの裏側をご紹介する【あの本の裏側】ですが、今回はベストセラーではなく、一風変わってロングセラーの本をご紹介します。
『あたらしい憲法のはなし』『日本国憲法』第2回はこの本が売れた理由を編集担当の田中さんに伺いました。

編集担当の田中さん
はじまりは「子どもが買える本」
——売れた理由はなんでしょうか。
まずは値段でしょうね。あと、難しい法律文なのにルビがふってあること。それと、小さくて軽いことじゃないでしょうか。

——判型や値段は違いますが、他社からも出ていますよね。
そうです。でも安くて薄いおかげでうちの本のほうが売れていますね。
それと、書店に行くと、だいたいこの2冊が一緒に並んでいる。だから、片方買う人はついでにもう一方も買ってくださるみたいですね。そのため、2冊とも同じようなペースで売れています。
——意外と目立ちますよね。法律・憲法コーナーに行くと、たいていの本が上製で分厚かったりするなかで、この2冊は異色です。
この「小さな学問の書」シリーズは今でこそ300円ですが、子どもにも買える値段ということで、当初は100円という価格設定で企画しました。でも、実際に作ろうとすると100円では採算がとれない。ということで、徐々に値段を上げていって、最終的に300円なら買えるだろうということになりました。
300円の根拠はハンバーガーです。ハンバーガーを買えるくらいの値段なら、子どもでも買えるだろうと思ったんです。
——読者にはどういった方が多いのでしょうか。
子ども向けに作りましたが、実際には大人の方、とくにお年寄りにたいへん好評です(笑)
それと、刊行当時は国会議員の方がたくさん買ってくださいました。地方議員の方も多くて、政治家の方々に感心をもってもらえたようです。
あと、おもしろいのは自衛隊の駐屯地がある朝霞とか練馬の書店から注文がまとまって来たことですね。
2月刊行なら書店員さんの目にも留まるはず
——売れ出すきっかけみたいなものはありましたか。
いや、とくになかったと思います。刊行前後で憲法改正の議論が盛んだったわけでもありませんし。ただ、憲法記念日は毎年来るものなので、それにあわせて憲法に関する論議がマスコミで話題になる、というサイクルはあると思います。でも、ブームに乗ったというわけではありません。
そもそもこの2冊は2月刊行なんです。なぜかというと、書店を経営していたからわかるんですが、2月と8月は書店にお客さんが来ない月なんですね。だから書店の売上げが悪い。それなら2月に出してやろう。お客さんが少なければ、書店員さんもちゃんとこの本を見てくれるはずだ、と考えました。
——最初の3か月で10万部売れた以降も、コンスタントに売れ続けているのはなぜでしょう。
毎年の憲法記念日にあわせて、4月くらいからよく売れているみたいです。憲法記念日に向けたフェアなどに合わせてね。
それと、この本は書店のレジの横に置いてもらえることが多くて、スーパーのレジ横にあるガムや飴を買うような感覚で買っていかれる方が多いみたいです。でも、そのせいで無料で配っている小冊子だと勘違いして、持って帰ってしまうお客さんがいるようです(笑)
(終わり)








