第21回目にご紹介するのは、

サンマーク出版の高橋朋宏さんです。



病気にならない生き方
体温を上げると健康になる


など、ヒット作を多数、担当されています。



ミリオンセラーの裏側、売れる企画のコツなど、

柔らかな語り口で、鋭い編集術についてをお話いただきました。


自信が仕事への楽しみにつながった



——編集者になろうと思ったきっかけは何ですか?

実はもともと編集者になろうと考えたことは一度もなく、面接の練習をするつもりで出版社を1社だけ受けたんです。たまたま内定をいただけたのですが、出版社に行くつもりはなかったので、その後も一生懸命就職活動を続けていました。でもテレビ局とか、広告代理店など人気業界ばかりを軽い気持ちで受けていたので、全滅してしまい、結局、運命の導きだったのでしょうか、一番最初に面接の練習で受けた出版社に入ることになりました。PHP研究所という出版社で、最初の2年間は営業を担当していたんです。



——どんな営業をしていたのですか?

営業と言っても書店営業ではなく、海外進出していた日本企業の国際部門などを相手にビデオ教材を売っていました。おもに国内でDMを送って電話をしてアポイントを取る、新規の顧客を開拓し、受注を取る、これの繰り返しでしたね。たまに、新人ながら一人で海外出張に行かせてもらうこともあり、しかもビジネスクラスで行かせてくれたんですよ。編集者になってからはエコノミーしかないんですけどね(笑)。



——実際に営業を経験されていかがでしたか?

自分で言うのもなんですけど、営業マンとしては結構仕事ができたんですよ(笑)。営業の仕事をやりながら、社内で行われた創刊雑誌企画のコンクールで一番をとったりして、「ああ、もうサラリーマンでやるべきことはやったな」なんて、とんでもないカン違い男でした(笑)。そして、働きはじめて2年近くたったある日、大学時代に没頭していた演劇をもう一度やりたくなって、サラリーマンを辞めることを決意したんです。それですぐに直属の上司に「芝居をやるんで、辞めます」と伝えたところ、しばらくしてから京都の本社に呼び出され、「どうせ辞めるなら、一度編集の仕事をやってみてから、演劇の道に進んでもいいんじゃないか」と営業本部長に説得されたんです。そこまで言ってくれるなら、とその場でいったん思いとどまることにしました。本当に辞める直前まで行ったんですが、今思うと、あの時止めてくれた当時の営業本部長には心から感謝しています。



そして、営業部から「Voice」というオピニオン雑誌の編集部へ移ったのですが、いきなり“仕事ができない人間”になってしまったんです。編集と営業とでは要求される資質や能力も違うし、文章を書くのも苦手だったので、たった一本のインタビュー原稿をまとめるのにも20時間くらいかかったりして、「自分は編集者にはまったく向いていない」と自己評価ゼロの絶望的な毎日を送っていました(笑)。寝る時間もろくにとれなかったので、入院すればつらい毎日から解放されるかなと、あらぬ妄想をして自分を慰めていたくらい(笑)。でも、仕事ができないながらも続けているうちに人からたまに褒められることも出てきて、自信も少しずつついてきて、気がついたときには「演劇よりもおもしろいかもしれない」と思えるようになっていたんです。



——自信が持てたというのはどのあたりからですか?

編集部に異動して半年くらいたったころですね。映画監督の伊丹十三さん(故人)のインタビュー原稿をまとめたときでした。それ以前は編集長に、自分の原稿が跡形も残らないほど真っ赤にされていたのですが、伊丹監督の原稿を出したら、一つも直されずに返ってきて、「よくできていたぞ」と初めて褒められたんです。伊丹監督からも「これはじょうずだねえ」と手放しで褒めていただき、すごくうれしかったのを鮮明に覚えています。編集者として初めて快感を覚えた出来事でした。今でもしんどいことのほうが多い日々ですが(笑)、でも、たまにそれをはるかに上回る快感があるから、やっていけるんですよね。




「営業力」が編集の武器に!



——普段、仕事をする上で意識していることはありますか?

ある著者に、「高橋さんの編集者としての一番の武器は何ですか?」と聞かれたことがあります。そんなことはそれまで考えたこともなかったので、「原稿をまとめる力でしょうかねぇ、いや著者の魅力を引き出す力かなぁ……」としどろもどろになりながらいろいろ言っていたら、「そうじゃないですよ、高橋さんの一番の武器は営業力ですよ」と言われたんです。



——営業経験が編集の仕事に役立ったということですか?

出版社で営業をする前の大学生の時に、わずか4カ月ですがリクルートでアルバイトをしたことがあって、そこで営業の基礎を叩きこまれたんですよ。どうしても営業成績で一番をとりたくて、アルバイトなのにのめりこむように営業の勉強をしました。今でも覚えていますが、営業マン用の教育ビデオセットがあって、その一つに、主役の営業マンがお茶を湯飲み茶碗に入れて出してくれた総務部の責任者に対して、「湯飲み茶碗やガラスのコップをやめて紙コップを導入しませんか」と営業する、という内容のビデオがあったんです。「紙コップは安っぽいから」とか「費用が高いから」と言われたとき、それに対してどのように切り返していけばいいか、などのシミュレーションが見られてとても勉強になったんです。そのビデオを夜な夜な研究したことが多分、昔にも今にも生きてるんだと思います。著者に依頼したり、むずかしい交渉をしたりするときなど、無意識に生かされていると思いますね(笑)。



——意外な経験が編集者としての仕事に繋がっているんですね。

編集者はそれぞれ固有の武器をいくつか持っていると思うんです。手紙を書くのが上手だったり、見出しをつけるのがうまかったり、あるいは徹夜に強かったり(笑)。その中でどれを核に仕事をしていけばいいのか、これを自覚することがすごく大切だと思います。僕の場合は「営業力」ということを意識するようになってから、仕事がうまく回り始めました。ひと言で言えば、保険やクルマのトップ営業マンたちの手法のモノマネです。たとえば、著者から別の著者を紹介してもらうとか。今思えば、「営業力を武器にしなさい」と指摘してもらえたこと、あれは最高のアドバイスでしたね。



(続く)

病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める-
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体温を上げると健康になる
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 著者:齋藤 真嗣
 出版:サンマーク出版
 発売日:2009-03-16
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サンマーク出版 高橋朋宏さん Vol.1

更新日: 2010年 7月 12日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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