ミリオンセラー! 『病気にならない生き方』



——『病気にならない生き方』はどんなところから生まれた企画だったのですか?
お付き合いのあるビジネス書の著者から、今度ニューヨークに行って新谷弘実先生という医師に会ってくるんだけど、新谷先生の本をつくる気はないかと、ある日、電話がかかってきたんです。新谷先生が世界的に有名な医師ということで話もおもしろそうだったので、「やります」と即答しました。なぜ企画会議にも通さずに返事ができたかというと、うちの会社には編集者特権という制度があって、編集長や社長がダメだといった企画であっても、年に1冊、自分の好きな本をつくってよいということになっていたからです。ところが、そのビジネス書の著者から返ってきた言葉は、「大物の先生なので、初版3万部ということで話をまとめてきたい」でした。さすがに初版部数3万部を決定する権限が僕にあるはずもなかったので、「それはムリです」と答えたところ、「初版3万部でないなら、他の版元にもっていくかもしれませんが、いいですか」と(笑)。そのとき、頭ではいけないと思いながらも、「わかりました。権限はないけれど、僕が責任をもって初版3万部になるようにします。だからうちでやります」と勢いで言ってしまったんです。こう言いきってしまった以上は、社長をその気にするしかない(笑)。そうして書き上げたのが、「100万部挑戦企画」と銘打ったA4一枚の企画書です。幸い、うちの社長は天才的な直観の持ち主で、「これはいける!」とその気になってくださり、約束どおり初版3万部でスタートすることができました。



——「いける!」というのは直感だったのですか?
そうですね。書籍の編集者になった以上、とにかくミリオンセラーをいつかつくりたいと思っていたんです。つくろうと思ってつくれるものではないのですが、どの編集者にもチャンスはきっと訪れるはずだと思っていました。その訪れたチャンスをちゃんとものにしようと、そういう心の準備だけは常にしていたんです。というのも、編集者は誰だって思い当たるふしがあると思うのですが、それまで大きなチャンスを逃してしまったと、あとになって悔しく思ったことが何度かあったものですから。それで、この著者の話を聞いたときに、「いつかくると思っていたミリオンセラーのチャンスは、これかもしれない!」と思ったんです。後にも先にも「100万部挑戦企画」と書いたのは一度きりなんですが、なんの迷いもなく、自然と涌いてきた言葉でした。結果的に139万部、シリーズとしては190万部を超えているのですが、あのとき企画書に「100万部挑戦企画」と書いていなかったら、ミリオンは達成できなかったんじゃないかと思っています。



——そこからミリオンセラーを達成されて、いかがでしたか?
不思議なんですけども、売れているときのほうが不安で不安でしょうがない(笑)。新聞広告をドカンと打って結果が伴わなかったらどうしようとか、書店でこんなにでかく展開していて大丈夫なのか、とか。この本の第二弾『病気にならない生き方 2 実践編』を出したときも、東京・丸の内の丸善に、広い船のようなスペースを使って1000冊ぐらい並べていただいたんです。それを見たときには足が立ちすくみましたね(笑)。どの編集者も経験していると思うんですけども、売れていれば売れているに値する不安があるんですよね。でも、不安が大きければ大きいほど、スリル満点となって、俄然、仕事がおもしろくなってくる。安全なところで仕事をしていても、全然仕事っておもしろくないんですよね。だんだんマゾになってきました(笑)。



——100万部とは、この出版不況ですごいことですよね。
うちの強みは、これまでミリオンセラーを出した経験が4回あり、その経験が今にも生きているということですね。30万部のときはこの手を打ち、50万部を超えたらあの手を打つみたいなことが、社員のあいだで暗黙の了解というか、共有できているところがあります。だから、うちの営業はすごいですよ。肌感覚に優れているというか、売れ行きに応じて、店頭での展開を維持したり、拡大したりする感覚が絶妙なんです。だから、長期にわたってベストセラーを維持し続けることができたと、僕は思っています。僕自身は編集者なのでそこにはまったく関わりませんから、営業部の目に見えない地道な努力の積み重ねが本当に大きかったですね。




身近なテーマで極端な意見



——ヒット作を多く生み出されて、売れる法則とは何だと思われますか?
それがわかれば苦労しないし、逆におもしろくないでしょうね(笑)。売れる法則というわけではありませんが、僕自身は、「身近なテーマで極端な意見」を本能的に求めているところがありますね。世間一般で言われている常識や正論に対し、はたして本当だろうかという「問い」がたまに頭をもたげてくるんです。だから一見、非常識な異論や極論をもっている著者に惹かれる傾向があります。その非常識な異論や極論の中に、「なるほど!」と思わず膝を打ちたくなるような言葉やロジックと出合えたとき、無性に本をつくりたくなるんです。その異論や極論がプラスのエネルギーを発しているというのが、大前提ですが…。『病気にならない生き方』と『体温を上げると健康になる』はまさにそんな感じでつくった本ですね。



身近なテーマ、例えばダイエットや、健康、日本語などのジャンルはたくさんの読者をつかめる可能性がありますが、その分似た内容の本があふれていて、いわば激戦地区です。そんなところに、ほかの本と同じような本を出しても、勝てないし、つくっている自分もおもしろくない。本というのはどちらか一方に振りきれていなければいけなくて、「こうでもあるけど、ああとも言える」という本ではダメだと思っています。



(続く)

病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める-
「病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める-」
 [単行本]
 著者:新谷 弘実
 出版:サンマーク出版
 発売日:2005-07-08
 by ええもん屋.com


体温を上げると健康になる
「体温を上げると健康になる」
 [単行本(ソフトカバー)]
 著者:齋藤 真嗣
 出版:サンマーク出版
 発売日:2009-03-16
 by ええもん屋.com

サンマーク出版 高橋朋宏さん Vol.4

更新日: 2010年 8月 3日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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