第22回目にご紹介するのは、
ダイヤモンド社の飯沼一洋さんです。

本当に頭がよくなる 1分間勉強法』や

バカでも年収1000万円』などのヒット作をご担当されています。

ストイックでひたむきな編集への情熱と、独自に編み出された仕事術について語っていただきました。



目標は進化していけばいい



——「出版業界に入られたきっかけは何ですか?」

すごく簡単に言うと、小学校のころからずっと「目立ちたがり屋」だったんです(笑)。だからといって、「タレントになりたいので吉本興業に入ります!」というのも、22歳の学生としては、それこそ「雲をつかむ話」じゃないですか…。だったら、普通の「一般企業」に入って営業や事務をするより、それこそ「マスコミ業界に入れば目立てるかなぁ!」、という…、最初はそんな程度の考えでした。まぁ、「学生」のころだと、みんなそんなものですよね。特に私は、かなり「おバカ系の学生」でしたし…。


——「マスコミの中でも編集者という職業を選ばれたのはなぜですか?」

僕は、小学校~中学校~高校と、ずっと推定で偏差値30台であろうという、「頭が悪いコンプレックス」があったので、「本を作る編集者って、なんだかすっごく頭良さそう」というイメージがあったんですよね。だって、2010年現在の僕だって、相変わらず「おバカ」なままで、昔とぜんぜん「脳みそのレベル」は変わっていないのですけれど、周りからは「飯沼さんって、すごく頭いいですよね~!」って、勝手に思い込んでくれているので、僕のたくらみは当たっていたわけですよ(笑)。まぁ、でも、最初の6年間は「死ぬ気で大変」でしたけれどね…。僕は、ダイヤモンド社に入ってまだ2年弱ですが、最初の6年間は「雑誌を発行する出版社」にいて、主には「クルマ雑誌」を担当していました。あの頃は、まぁ、「大変」なんてもんじゃぁ、なかったですね。だって、年収200万円台なのに、毎月毎月、1週間ぐらいは会社に泊っていましたからね。もちろん、そんなお給料の安い会社ですから、「残業代ゼロ」、「ボーナスもゼロ」ですよ、当然。会社からは「コストをかけないように、すべての編集作業は自分でやるように!」と言われていたので、「雑誌のレイアウト」を最初から自分でクォーク、イラストレーター、フォトショップを使ってDTPで組んだり、「写真」も小さなページはあんまりカメラマンには頼めなかったので、自分で撮影しました。もちろん、「あのぉ、編集部に一眼レフカメラありますか?」って聞いたら、「そんなもん、自分で自腹で買うんだよ!」って言われて、撮影用の一眼レフのカメラも自腹で買いました(泣)。


そんな環境のなかでも、仕事に燃えられて、メチャクチャ頑張っていたので、その出版社では、数々の「前人未到の記録」を打ち上げましたよ。「63時間連続無睡眠記録」とか、「ゴールデンウィークなのに会社に10泊11日記録」とか、「3ヶ月連続出勤記録」とか(笑)。まぁ、「若いうちの苦労は買ってでもしろ」とは、よく言ったもので、そんな「激烈な環境」にいたので、よっぽどのことがない限り「忙しくて仕事がつらい」なんて、思わないようになれたので、あの経験にも「感謝」ですよね。なので、社会人デビュー以来、毎年毎年、会社に出社しない日数は、年間15日ぐらいですから、今日までずっと「年間350日出社」を通してきちゃってますけれどね。でもですね…、そういう姿勢で一生懸命、毎日コツコツ、コツコツ、頑張って続けたら、小学校からずっと抱いていた「自分が目立ちたいだけ」という「後ろ暗い欲望」が少しづつですが、「高尚」になっていくんですよね。


——「どのように高尚になられたのですか?」

最近は、自分が本当に望んでいる夢として、「オンリーワンの価値ある情報を発信して、できる限り多くの人たちを幸せにしたい」と思えるようになりました。いや、もちろん、「目立ちたい!」っていう気持ちが消えたわけではないですよ。「神様」じゃないんですから、やっぱり、そういう「後ろ暗い欲望」って、原動力としては、あっていいと思うのです。でも、ですね…、読者のため、著者のため、書店さんのため、流通さんのため、印刷会社のため、製本所のため、ライターさんのため、デザイナーさんのため、協力してくださるフリーランス全ての方々のため…。一生懸命仕事をしていくうちに、「自分のやっている仕事がいろんな人々に影響を与えて、自分ひとりで仕事しているんじゃなくて、多くの人々のお陰で、仕事をさせていただいているんだ」って気持ちが、どんどん強くなってくるはずなんです。そうやって、ちゃんと「本を売って」、協力してくれたみなさんに、ちゃんと利益が還元できて、「全員が幸せになれる本作り」ができればいいなぁと、思えるようになってくるんですよね。そのために、一番、必要なのは、やっぱり、「毎日毎日、1つ1つの小さな仕事に全力をつくして、それを愚直に10年間積み重ねていくこと」なんだと思いますよ。


——「きっかけは何でもいいのですね」

最初は「後ろ暗い欲望」であったり、「コンプレックスをバネ」にして、それを達成するために、突き進むのでもいいと思うんです。「誰が聞いても納得してくれて、お母さんに話したら喜ばれるような、高尚な夢じゃないとダメ!」と言われてしまっては、今の若い人々は、ずっと「草食系」でいるしかなくなってしまいますよ。人間なんだから、欲望もあるし、汚い部分もあるし、やらしい部分もあるし、それで、いいと思うのですよね。「本当に望んでいること」じゃなかったら、本当には頑張れませんって。だから、最初は「女の子にモテたい」でも、「カッコ良く見られたい」でも、「ビリだっただから1番を取って見返してやりたい」でもいいじゃないですか。最初は、自分の欲望に素直になって、突き進めばいいのです。でも、突き進んでいるうちに、一生懸命やっているうちに、「全力で努力している人にはいろんないい人々が集まってくる」ものですから、だんだん「自分ひとりじゃない、いい仲間がたくさんいる、自分の仕事が多くの人々の役に立っている」って、分かってきて、段々と「後ろ暗い欲望」も昇華されて、少しずつ高尚になっていくはずなんです。少なくとも、僕は、そうでしたね。



「年間ランキング日本1位」も達成した8割バッター!



——「本をつくる上でのこだわりはなんですか?」

「結果」を常に求めることです。結果とはつまり数字で、簡単に言うと「1番」を本気で狙って取りにいくことなんですよ。「1番という結果」にこだわる人にしか、「過程の大切さや、楽しむことの大切さ」は語れません。中途半端に、まぁ、100位ぐらいでいいやぁと思っている人に、「過程が大事だから…」って言われたって、「ただのイイワケ」にしか聞こえないと思うのですよ。「1番、1番…」って聞くと、やらしく聞こえる人は、こう考えてみてください。ゴルフの石川遼選手が、「世界で100位以内を目指します!」といわれたら、みなさん、ガッカリしませんか? 「なんだよ、石川遼選手、どうせ狙うなら世界1位を狙ってくれよ~!」と思いません? 本気で「1番」を狙って、それで100位だったら、しょうがない。でも、最初から100位を狙っていくって、ただの「手抜き」なんじゃないですかね…。みなさん、「数字、数字…」って聞くと冷たく聞こえるかもしれませんが、本当は数字ってもっと「温かいもの」だと思うんですよね。その人が「本気で頑張ったこと」が「数字として目に見えているだけ」じゃないですか。適当に、100位でいいやぁ、なんてやっていたら数字なんか出ませんよ。だから、著者を見るときも「実績などの数字」にこだわりますよ。その著者がどこまで本気で頑張ってきたかが、「数字に表れる」と思っているので。そして、僕自身も、編集を担当させていただく以上は、常に、その著者の過去最高部数を、リアルにリアルに狙っていきますよ。そして、もし、そこまで頑張っても、万が一、まったく売れなかったときにも、「いやぁ、飯沼クン、今回の本は、売れなかったけれど、次の本も、飯沼クンの担当でお願いしたいですよ!」と、著者に言っていただける仕事をするためにも、過程を大切にするためにも、そのためにも常に「1位」を狙っていくんです。


僕が「日本1位」を意識し始めたのは2007年ぐらいからです。ちなみに、「日本1位」というのはビジネス書のカテゴリーですね。小説とか、新書とか、マンガとかと勝負しても、そもそもカテゴリーが違いますから、比べることに意味がないですからね。2008年に担当させていただいた小林正観さんの『100%幸せな1%の人々』が22万部を売上げて、「2008年の年間ランキング日本5 位」に入りました。そのときに、日本で年間に発行される書籍の点数は7万9000点もあって「日本1位は、たしかにハンパじゃないゾーンだけれど、狙えないゾーンじゃないんだ!」と、自信がつきました。それで頑張った結果、担当させていただいた石井貴士さんの『本当に頭がよくなる 1分間勉強法』が「2009年の年間ランキング日本1位」を取ることができたんです。これは、自分の人生の中でも、すごく嬉しい瞬間でしたね。そして今年は、最新刊の『バカでも年収1000万円』で、「日本年間ベスト10入り」を狙っています。うまく入ることができれば、「3年連続・日本年間ベスト10入り」で、3連覇となるわけです。1回だと「まぐれ」もあるし、2回でも「すごいまぐれ」もありますが、さすがに「3連覇」が達成できれば、「コンスタントにベストセラーを出せる編集者」というように、自分で自分に自信がつく気がするのですよね。


——「意識がとても高いのですね」

やはり、「プロフェッショナルの条件」とは、「常に成果を出し続けられる人であり、そのさらに上の高みを目指し続けれる人」だと思うんです。僕だって「重版率8割」ですから、残りの2割は「空振って」いるんですよ…初版の6000部で止まってしまう本も、10冊に2冊は作っているわけです。でも、本当に試されるのは、順風満帆でうまくノッているときじゃなくって、「超つらい局面が続いたときに、どういう行動を取ることができるか?」ってことだと思うのですよね。順風満帆でうまくノッているときに、調子よく乗っていくことなんて、誰にでもできますからね。


——「つらいときはどうやって自分を奮起されるのですか?」

超つらい局面が続いたとき、普段は2割のはずの「空振り」が、ずっと続いてしまったとき。どうするか? それはもう、「ひたすらバッターボックスに立ち続けて、バットを振り続ける」しかないですよ。やり続けるんです。止めないこと。究極的には、失敗は3つしかないと思うのです。「1:行動を起こせなかった」、「2:行動を起こしたが、失敗して途中で止めてしまった」、「3:行動を起こして、失敗して、それでも行動を起こしつづけられたが、考えていなかった」の3つ…。すると、成功する秘訣が見えてくるのです。つまり、成功の法則とは、「行動し続けて、失敗しても、行動し続けながら、考え続けること」です。つまり、同じことをしていたら、いくら、行動し続けられても、同じ失敗を繰り返してしまうわけですから、「行動しながら、考えて、失敗しても、行動し続けて、考え続けて、止めないこと」なのです。でも、失敗したからって、いきなり自分を「完全に180度ひっくり返してしまう」のはダメだと思うんですよ。過去に、うまくいっていた自分を活かさないと「蓄積&積み上げ」にならないわけですから。だから、「自分の軸」はブラさずに、その中で「時代のトレンド」を世の中から読んでいきながら、少しずつ、少しずつ、考えながら変化していくことです。大切なので、もう一度いいますが、究極的に成功とは、「行動し続けて、考え続けて、失敗しても、行動し続けて、考え続けて、止めないこと」なのです、That’s All.

(続く)

100%幸せな1%の人々
「100%幸せな1%の人々」
 [単行本(ソフトカバー)]
 著者:小林 正観
 出版:中経出版
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本当に頭がよくなる1分間勉強法
「本当に頭がよくなる1分間勉強法」
 [単行本(ソフトカバー)]
 著者:石井 貴士
 出版:中経出版
 発売日:2008-08-22
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バカでも年収1000万円
「バカでも年収1000万円」
 [単行本]
 著者:伊藤 喜之
 出版:ダイヤモンド社
 発売日:2010-07-30
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ダイヤモンド社 飯沼一洋さん Vol.1

更新日: 2010年 9月 6日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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コメント / トラックバック1件

  1. 大野夏美 より:

    以前からブログを拝見させていただいたおりました。

    とても参考になりました。
    ありがとうございます。

    「電車の中で、素がでる」ということに
    ドキッとしました。

    余裕のある自分を想像して
    やってゆこうと思います。

    ありがとうございました。

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