ビジネス書の老舗出版社ダイヤモンド社。

書籍編集局第3編集部の編集長である土江英明さんは、

ビジネス、自己啓発、お金、科学書と

幅広いジャンルでベストセラーを連発する敏腕編集者でもある。

そんな土江さんに、本の7つのパーツで立体的に人を惹きつける

キャッチコピー力の秘訣についてうかがった。





土江英明(つちえ・ひであき)さん
プロフィール 
1960年生まれ。明治大学法学部卒業後、85年ダイヤモンド社入社。『type』編集長などを経て、現職。担当書籍は、『面接の達人』シリーズ(中谷彰宏著)、『フューチャー・イズ・ワイルド』(ドゥーガル・ディクソン著)、『ハゲタカ』(真山仁著)ほか多数。学生による出版オーディション「出版甲子園」の第1回、第2回審査委員長を務めた。





①タイトルで「これは、私のための本だ!」と思っていただく
これだけたくさんの本が出版されている現状では、
書店で、読者の方が歩きながら、「あっ、よさそう!」と手に取っていただけるかどうかが、最初のステージ。
大きな書店だと、約170万冊もの中から選ばれなければならない。 


チラッと見るだけで、気づいて手に取っていただかないといけない。
恋愛で言うと、すれ違っただけで、「いいわね」と思っていただかないとダメ。
そのためには、「これは自分のための本だ!」と思っていただくことが不可欠。


:『なぜあの人は人前で話すのがうまいのか』 





自分は、「人前で」うまく話せないというコンプレックスを持っている。
だから、「人前で」うまく喋る人の秘密を知りたい。 
きっと同じように思っている人が多いはず、だと考えた。
「人前で」というのがポイント。


:『だから片づかない。なのに時間がない。





自分が片づけられない人間だから、「なぜ、そうなってしまうのか?」理由を知りたい。
きっと同じように思っている人は多いはず。


②帯を見て、「ひとめぼれ」をしていただく。数字を入れて、「私にもできそう!」と思っていただく


お金の本や、自己啓発の本は、
「あの人だからできるんだよね(私には無理)」と思われたらおしまい。
「すごい人じゃないんですよ」「もともとは、読者と同じだった」
と思っていただくために、スタート地点は、低くする。
スタートは低く、ゴールは高く見せる。どちらも具体的な数字を入れる。


:『20代のいま、やっておくべきお金のこと
「25歳で貯金ゼロでも、1億円貯められる!」





25歳で貯金ゼロとスタート地点は低く、ゴールは1億円と高い。  


③「ソデ」には、自分が一番響いた言葉を入れる
ソデ(カバージャケットの折り返し部分)には、
自分がその本で一番響いたり、刺さったフレーズを入れる。


例:『なぜあの人は人前で話すのがうまいのか』





話の「入り方」と、「終わり方」だけ、決めておけばいい。


この本で、自分が一番「なるほど!」と思ったフレーズ。
ただし、帯に載せるには、パッと意味が伝わりにくいフレーズでもあったので、ソデに。


④帯裏には、手に取って、じっくり読んでいただくシーンを考える
一押しの内容を入れる


:『なぜあの人は人前で話すのがうまいのか』





⑤目次はいろいろな角度から響く言葉を集める
女性をほめるのと一緒。単に、いいところを褒めれば、いいわけではない。
「その褒め方はイヤ!」ということもあるように、
「その褒め方は好き!」と思っていただけるほめ方を、いろいろな角度から考える


:『なぜあの人は人前で話すのがうまいのか』





⑥プロフィールでは、「こんなキャリアの人が書いた本だったら、買わなくては」と思っていただく
「この本を書いているのは、どんな人?」という、読者の方の疑問に答えるように。


⑦まえがきは面接であり、映画の予告編でもある
まえがきは、就職でいえば面接。
3分くらいで、自分のいいところをアピールしなければいけない。
いわば、映画の予告編みたいなもの。
「これ1冊読めば、こんな楽しいことがありますよ」ということを、
映像が浮かんでくるように、キャッチコピーで見せる。
どうしても中身が読みたくなるように。


[その他の印象に残った言葉]


「原稿ができてから、いいタイトルを思いつくのは至難の技。
著者と最初に頂(いただき)を共有して、『このタイトルに向かって登っていこうよ』というのが理想」


「翻訳本は、いいタイトルが思いつくかどうかが、オファーする大きな判断材料」


「読者の方に役に立つ、再現性(私にもできる)のある情報を提供できるかが鍵」


「中谷彰宏さんには、自分のコップレックスを解消する本を依頼している。
中谷さんの『20代でしなければならない50のこと』が韓国でベストセラーになったとき、
韓国での講演会に同行。
中谷さんが人前で話すのがあまりに上手なので、
『人前で話すのが苦手な私のために書いてください』とタクシーの中で執筆を依頼。
それが、『なぜあの人は人前で話すのがうまいのか』」


「『面接の達人』でブレイクした中谷彰宏さんの自己啓発本を最初に出そうとしたとき、
市場にポッカリ空いている部分を発見し、70年代に自己啓発本で一世を風靡した加藤諦三さんの著作シリーズを参考にして研究した。裏コンセプトは『若・加藤諦三』だった」


「恥ずかしいくらいの、どストレートのタイトルに、読者の方の心が引っ掛かることが多い。
ベタなテーマの場合は、ベタなタイトルやデザインにしたほうがいい」


「この本の中身を絶対読んでいただきたい人に、確実にちゃんと伝わるタイトルにすべき。
逆に言うと、読まなくていい人には伝わらなくてもいいくらいの覚悟で」


「どれだけ売れるかという予測は、まず当たらない。そのためにも、売れている本のカバーの表と裏をコピーして、眺めて参考にすることも」


「人の意見は参考にするけど、自分で決める。失敗しながらでないと、直感が湧いてこなくなる」


「1冊の手帳に、ふだんのスケジュールから、キャッチコピーや企画、販促のアイデアをまとめている。とくに、長くて幅の広いふせんが便利でお気に入り。ちなみに、ふせんに書いてあるプロモーションの予定は、9月下旬発売予定のヒクソン・グレイシーさんの本








「『あとがき』は恐い。気を抜いた『あとがき』なら、なくてもいい」




書店で本を手にするとき、瞬間的に頭の中で、「妄想」がかけめぐっている。
そうやって読者に届く企画を考えるときも、妄想のエンジンがかかる。





取材前にあった「敏腕編集者」という、
前に前に出てくるようなイメージとは異なり、
おだやかに遠慮がちに話す土江さん。


「こんな話で、いいんですかね?」と言いながら、
語っていただいた本づくりの哲学は、
とても深く、驚くほど戦略的だった。


川上徹也




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ダイヤモンド社 土江英明さんが語る 3次元で立体的に惹きつける「キャッチコピー力の極意」とは?

更新日: 2010年 9月 15日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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コメント / トラックバック3件

  1. 高川雄一郎 より:

    未曾有の国難に見舞われたこの時期に、人心を混乱させるような大袈裟な見出しで、不安を煽る記事を編集する奴が偉そうな事を言うな!
    尾木和晴、編集長としての責任は重いぞ。

  2. ともぞう より:

    「放射能がくる」
    「原発が爆発した」
    持てる能力を最大限,彼は何かの目的のために発揮しているのでしょう.私には理解できません.
    現在AERAのサイトは閲覧できない状態になっています.

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