20代、30代女子向けの雑誌として人気の『OZ plus』。
外面よりも、内面を磨くことを優先した編集方針が特徴だ。
読者に自分のための雑誌だと思ってもらうキャッチコピーは
どのようにして生まれるのか。
その秘密を篠原さんにうかがった。



篠原康子(しのはら・やすこ)さん
プロフィール
スターツ出版株式会社 書籍コンテンツ部・書籍編集 編集長 (現在)。1988年、大学卒業と同時に、美術雑誌の出版社に勤務。その後、新聞社にてビジネスマン向け情報誌の立ち上げ、書籍出版社での編集経験などを経て、1994年スターツ出版株式会社に入社。同社ではオズマガジン編集部、書籍編集部を経たのちに、オズマガジン増刊・ムック編集部へ。これまで に、旅・ 食・美容・仕事などをテーマに多数の出版物制作に携わる。2年半前に、20代・30代の女性をターゲットにしたライフスタイル誌・オズプラスを創刊させ、 以来、編集長として関わる。
(この取材時はオズプラス編集長在任中だったが)今年10月からは新たに、書籍コンテンツ部・書籍編集の編集長に就任。目下、 ケータイ小説文庫や書籍の編集に勤しむ日々。
東京・新宿在住、一児の母。



①読者と同じ目線の言葉を入れる
20代、30代の働く女性に向けた雑誌のコンセプトである
「自分らしさを磨く」を表現するために、
メイン特集のタイトルには、「わたし」という言葉を入れることが多い。








※「わたしの説明書」は好評につき、2年連続の特集。


これは、何よりも「自分に関係があるな」「自分と同じ目線だな」
ということを感じてもらうために、確信犯的に使っている。
「あたし」では若すぎるし、「私」だとちょっと固い感じがする。
そのあいだにある、まろやかさを感じるのが、「わたし」。


また、同じ20代、30代の働く女性向けの雑誌には、
キャリアウーマンがメインの雑誌もあるが、
『OZ plus』の読者が素の自分になれる言葉をいつも探している。





②読者の等身大の苦手意識を克服できるタイトルをつける
20代後半から30代前半の女子にとっての共通の悩みを
1つひとつ解決していく、雑誌を目指している。
苦手意識を克服できるようなイメージを持ってもらうタイトルをつける。
読者にとって等身大のリアルを感じるかが大切。
「メインタイトル=ゴール」であることがイメージできるように、
サブタイトルとの掛け合わせも考える。


:メインタイトル「わたしを作るマネー計画」
サブタイトル「ココロを満たす、わたしらしいお金の付き合い方」





③あえて、とがった表現を使わない
シンプルで心に刺さる強い表現は大切。
でも、読者層を考えて、「とがった表現」はできるだけ使わない。
「この雑誌だから買いたい」という求められているものを、
肩の力を入れずに読者の役に立つような情報を提供する。


:「35歳までに身につけたい女子力」





「身につけたい」という固い言葉と「女子力」というやわらかい言葉。
この肩に力が入ってなさ加減が、『OZ plus』らしさ。


④わかりやすく、たやすく、とっつきやすく
「0.3秒ルール」。書店で手に取って買っていただけるかどうかは、0.3秒で決まる。
シンプルに心に刺さるかどうかが、重要。


⑤心が動くポジティブな表現にする


:「幸せになれる恋愛・結婚」
特集のテーマ会議では軸をはっきりさせる仮タイトルをつける。
たとえば、企画時の「脱・大脳恋愛」(=頭で考える条件でなく感覚で好きになる)を、
わかりやすい言葉にすると、「素直になれる恋愛」。
そのコンセプトを軸にした編集方針で取材する。小見出しには、企画原題を活かした。





しかし、実際のタイトルはまた別に考える。
よりポジティブさを感じることができ、ゴールをイメージしやすい
「わたしらしく幸せになれる恋愛・結婚」とすることに。
さらに文字数やビジュアルの関係から最終的なメインタイトルは
「幸せになれる恋愛・結婚」となった。
(それぞれの段階での言葉はサブタイトルや見出し等で使っている)





⑥「かわいい」というワードは万能選手


:「1泊2日 かわいい春の旅」の売れ行きがよかったのも、言葉のニュアンスが読者の気持ちにスーっと入り込んだからかもしれない。





⑦「中身×テーマ×タイトル」で、読者に響く言葉を選ぶ


:「わたし整理術」





男性には響かないタイトルかもしれないが、女性には響く。
整理術でも、男性だと「デスク」「部屋」とか具体的なモノになってしまいがち。
自分の内面、人間関係、時間等
「わたし」を軸にしたさまざまな世界を整理していくのがテーマ。
アンケートでも「わたし整理術」というコピーがよかったから買いました、という答えが多かった。


[7カ条以外の印象に残った言葉]


「表紙のデザインを何パターンか作って近くの書店やコンビニに持って行く。
お店の許可をもらって、実際に置いてみて見比べる。
ベストだと思っていたコピーやデザインが、
店頭だと目立たなかったり、ガチャガチャしすぎていたり、
と感じて、やり直すことも珍しくない。
店頭で実際に置いて、他誌と比べてみた感覚がとても大切」


「タイトルがわかりにくい場合は、タイトルの横に具体的な項目を入れる」


「直感で違うと思った内容はすぐに変える。『恋愛と結婚』では売れたが、『恋と結婚』では売れない、という微妙な違いもあった」





「常に『どうしたいのか?』のゴールを打ち出しながらのタイトルづくり」


:「人生を変える!代謝アップダイエット」。当初は「代謝アップダイエット」だったが、
それで「どうしたいのか?」を考えたら、「人生を変える!」という言葉がついた





「最新号『わたしを変える言葉力』は、言葉に関しての感度が上がっているなかで、
コミュニケーションで迷っている女性に対して投げかけた号。
『インプットする言葉力』と『アウトプットする言葉力』の2本柱を意識している」


「売れた号は少ししかほめられず、売れなかった号はあそこが悪かったとつるし上げられる(笑)」



会議室の大きなテーブいっぱいに、
これまでに手がけた雑誌を広げて、
1つひとつ丁寧に説明してくれた篠原さん。
自分のつくっている雑誌に対する愛情があふれ、
キャッチコピーはもちろん、
1つひとつの記事の先にいる読者に向けてつくっていることが、
ひしひしと伝わってくる取材だった。
川上徹也




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スターツ出版・篠原康子さんが語る 読者に“自分のため”と思ってもらうための「キャッチコピー力の極意7カ条」とは?

更新日: 2010年 10月 21日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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コメント / トラックバック3件

  1. 高川雄一郎 より:

    未曾有の国難に見舞われたこの時期に、人心を混乱させるような大袈裟な見出しで、不安を煽る記事を編集する奴が偉そうな事を言うな!
    尾木和晴、編集長としての責任は重いぞ。

  2. ともぞう より:

    「放射能がくる」
    「原発が爆発した」
    持てる能力を最大限,彼は何かの目的のために発揮しているのでしょう.私には理解できません.
    現在AERAのサイトは閲覧できない状態になっています.

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