160万部のミリオンセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』で、ビシネス書や新書のタイトルに革命をもたらした公認会計士・山田真哉さん。書籍のタイトルへのこだわりが非常に強いことでも有名だ。
そんなこだわりが高じて“書籍をタイトルの美しさやおもしろさだけで評価する”イベント「日本タイトルだけ大賞」を昨年度から主催している。
そんな山田さんに、タイトルだけで人を惹きつける極意をうかがった。


山田真哉(やまだしんや)さん
プロフィール
神戸市生まれ。大阪大学文学部卒。一般企業に就職後、公認会計士二次試験に合格。中央青山監査法人(当時)/プライスウォーターハウスクーパースを経て、現在、公認会計士 山田真哉事務所所長。著書である小説『女子大生会計士の事件簿』はシリーズ100万超となり2008年秋にテレビドラマ化された。また、会計入門書『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』は160万部の大ベスセラーになった。その他の著書に、『フラン学園会計探偵クラブ』『会計HACKS!』『世界一やさしい会計の本です』などがある。





※今回は「日本タイトルだけ大賞」のノミネート作品を例に出して、クイズ形式にしてみました。皆さんもぜひ考えながら読み進めてください。







『これからの「正義」の話をしよう』
『エクセルができたくらいで好きになんかならないんだからねっ!』
『嫁のメシがまずい!』



   ↓


極意1 話し言葉(口語体)を使う
「~する方法」「~の技術」など、書籍ではまだまだ書き言葉のタイトルが多い。
そんな中で話し言葉(口語体、用言止め)のタイトルは目立つし、親近感を覚える。 







『この、リンス泥棒!』
『オッパイ星人あらわる』
『山でウンコをする方法』
『即答するバカ』



   ↓


極意2 漢字、ひらがな、カタカナのバランスを取る
本が流通していく背景にある重要な要素は、タイトルの「文字づら」。
漢字、ひらがな、カタカナのバランスが取れているタイトルは、印象に残りやすい。
ビジュアルとしても美しい。漢字が多いと読めない。「視認性」は重要。


『この、リンス泥棒!』(ひらがな+カタカナ+漢字)
『オッパイ星人あらわる』(カタカナ+漢字+ひらがな)
『山でウンコをする方法』(漢字+ひらがな+カタカナ+ひらがな+漢字)
『即答するバカ』(漢字+ひらがな+カタカナ)







『IQ84以下』
『はぐれ獣医純情派』
『ヘッテルとフエーテル』
(2009年度タイトルだけ大賞受賞)


    ↓


極意3 本歌取りにする
有名な元ネタを連想させるタイトルは、面白そうな感じを醸し出し、印象に残りやすい。







『100回失敗、50億失った、バカ社長』
『借金お嬢クリス 42兆円耳を揃えて返してやりますわ』
『アイドルのウエストはなぜ58センチなのか』
『3001回ぶたれた男の子』
『借金の底無し沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記』
『31年ぶりにムショを出た──私と過ごした1000人の殺人者たち』
(2009年度タイトルだけ大賞 山田真哉賞受賞作品)


    ↓


極意4 やっぱり数字は強い
よく言われることではあるが、やはり数字は強い。
タイトルに数字を取り入れると印象に残り、背景のストーリーが感じられる。







『スラムダンク孫子』
『熟女少女』
『放屁という覚醒』
『UFOと弁慶』



   ↓


極意5  意外性のある短いフレーズの組み合わせでインパクトを出す
短いタイトルはそれだけ速く読者に届く。
特に意外な言葉の組み合わせだとインパクト大。







『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』
『お坊さんはなぜ夜お寺を抜け出すのか?』
『赤ちゃんはスリッパの裏をなめても平気』



    ↓


極意6 反常識で「おやっ!」と思わせる
人は自分の常識と違うことを言われると、つい答えを確かめたくなる。







『焼肉のことばかり考えてる人が考えてること』
『命とひきかえにゴルフがうまくなる方法』
『サディストは合コンでテーブルを拭く。』
『ビールは、背筋力で飲め!』
『メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか?』
(2009年度タイトルだけ大賞ヨシナガ賞受賞作品)





極意7 ツッコミ待ち
タイトルに向かって見た人が思わず「それ××やろ!」とツッコンでしまうタイトル。
そのタイトルを見てつっこんだ人とのキャッチボールが生まれるので、手に取ってもらいやすい。


例の挙げたタイトルへのツッコミ
『焼肉のことばかり考えてる人が考えてること』
⇒「そりゃ焼肉のことだろ」というツッコミ


『命とひきかえにゴルフがうまくなる方法』
⇒「命と引き換えたらあかんやろ!」というツッコミ


『サディストは合コンでテーブルを拭く。』
⇒「本当かよ!」というツッコミ


『ビールは、背筋力で飲め!』
⇒「普通に美味しく飲みたいよ」というツッコミ


『メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか?』
⇒「そんな訳ないやろ!」というツッコミ




まとめ  タイトルで人を「惹きつけて、売れる本」と「惹きつけるけど、売れない本」の違い


書籍の年間出版点数が「8万点時代」に突入し、「突き抜けたタイトル」「ストーリーを喚起するタイトル」でなければ、お客さんの目にはとまらない。ただし、そこで手に取ってレジに持っていくかどうか、つまり「売れるかどうか」にはさらに分かれ道がある。


それは「お金を出しても買いたいか」、つまり、お金を出す動機となる「勉強になる」「ためになる」「元気になる」「笑える」「泣ける」など、読者の実になるもの、であるということだ。ネット社会になっても、本は実用の役割が求めら、本が本たるゆえんである。
売れる本とそうでない本のあいだには、深くて長い川が流れているのだ。そしてタイトル倒れになってしまった本を見ると、結局は、中身が面白くないと広がらない。




[7カ条以外で印象に残った言葉]


「タイトルと著者による『合わせ技一本』という表現をよく使う。例として、『バカな女は20分で飽きる』。これを普通の人が書くと神経を逆なでしすぎる可能性がある。しかし、著者がピーコさんだからこのタイトルが許される』


「タイトルを見て中味がある程度わからないと買わない」


「もちろん中味も大事だが、タイトルがいいとそれだけで重版の可能性は高くなる。タイトルによる伝播力は強い」


「いいタイトルは、時代の流れをつかんでいる。いわば『機を見るに敏』(好都合な状況や時期を素早くつかんで的確に行動する)が大事」


「タイトルだけで衝動買いする人は、CDをジャケ買いする割合と同じくらいで、全体の1割もいないのではないか」


「『パンツマンVSおもらし教授』は、普通なら「パンツの対」になるのは、トランクスなどを思い浮かべるかもしれないが、「パンツの対はおもらし」らしいところが秀逸」




「タイトルだけ」とは人間で言えば、名前勝ち。
もちろん顔(カバー)と中身(本文)は、本でも人間でも大事だけど、
名前勝ちは、本ではとりわけ大きなアドバンテージになる。





「日本タイトルだけ大賞2010」のノミネート作品一覧表を前に、
進められたこの取材。
タイトルを読むだけで、そこにいた全員が笑ってしうまこともしばしば。
タイトルだけでもこんなにエンターテインメントになるとは!
12/11どの作品がグランプリに選ばれるか楽しみだ。
川上徹也




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『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の山田真哉さんが語る「タイトルだけで人を惹きつけるキャッチコピー力の極意7カ条」とは?

更新日: 2010年 12月 7日| このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

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コメント / トラックバック3件

  1. 高川雄一郎 より:

    未曾有の国難に見舞われたこの時期に、人心を混乱させるような大袈裟な見出しで、不安を煽る記事を編集する奴が偉そうな事を言うな!
    尾木和晴、編集長としての責任は重いぞ。

  2. ともぞう より:

    「放射能がくる」
    「原発が爆発した」
    持てる能力を最大限,彼は何かの目的のために発揮しているのでしょう.私には理解できません.
    現在AERAのサイトは閲覧できない状態になっています.

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